麻生区版 掲載号:2016年9月2日号 エリアトップへ

柿生郷土史料館タイアップ企画 柿生文化を読む 第86回 小沢城(4)後編

掲載号:2016年9月2日号

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 【前回から続く】

 だが、敗れた上杉朝興勢はまだまだ執拗で、北条方が江戸城を関東制覇の拠点としてからも奪還の戦が度々あり、小沢城でもその余波を受けての戦があったかと思われます。しかし天文六年(1537)上杉朝興が死に、天文十五年(1546)北条氏康は上杉家の本拠河越城を河越の夜討ちとも言われる合戦で上杉朝定等を敗死させ扇谷上杉は滅亡。山内上杉憲政は上野国へ敗走、両上杉家と北条家の戦には終止符が打たれ、以降、戦国大名となった北条氏には永禄三年1562)上杉憲政を擁した長尾景春(上杉謙信)の関東侵攻、元亀元年(1574)武田晴信の小田原城攻めなどの戦があったものの、小沢城の如き城壘は忘れ去られ、元の山塊に戻っていきます。この小沢城歴代の城主が初代を除き誰であったかは分かりません。それは、その戦ごとに人を変えていたからなのでしょう。多摩川に突出して天然の地形を持ったことから、戦国動乱の中で多くの武士たちの野心に利用され、翻弄されたこの城の幾多の戦の変遷はこの地方の戦国時代の歴史を物語っていてくれます。

 今、小沢城址を訪れてみると、新緑の中を寿福寺から浅間塚〜小沢峰〜浅間山、稲城の穴沢天神社に抜ける空堀もあり格好のハイキングコースですが、市小沢城跡調査収録書によると、「支尾根を削平し、広い平場が次から次へと連続しており、掘割を作り、切岸を作り、土塁を築き、大堀をもって城内外を区切るといったやり方は、邸館を中心とする中世後半期城郭にみられるもの」と述べています。

成程、訪れてみると邸館と覚しき跡地、井戸もあり、その館の主が誰であったのかがこの城塁の特徴で、戦のごとにその館の主は変わり、儚い戦国の世の武将の夢の跡を偲ばせています。

 それにしても、この城を持った小沢郷、菅や矢野口の村々は幾度となく続く戦火によく耐えたものと思います。新編武蔵風土記稿によると菅村の項に、百姓定右衛門の欄があり「先祖佐保田山城守平政春は当所の領主なり」と述べ、当村に七党あり、広田、安藤、上原、田郷、関谷、小山、佐保田としていますので、これら氏族の祖先の苦労があったのではないでしょうか。
 

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