旧東海道の歴史や浮世絵文化の拠点として親しまれてきた川崎区砂子の「川崎・砂子の里資料館」が今月の企画展を最後に休館する。今後は出張展示など形を変えながら、文化の普及に努めていくという。
所有の浮世絵展示川崎区有数の観光スポット
同館は元参議院議員の斎藤丈夫さんが 「埋もれてしまった歴史にスポットを当てよう」と01年、自宅を改造して開設。主に斎藤さんが所有する浮世絵を無料で公開し、現在は公益社団法人として運営している。
斎藤さんは屈指の浮世絵コレクターとして知られ、父親の代から所有するものを含めると、その数は約4000枚にのぼる。地元にゆかりのある作品『東海道五拾三次之内 川崎 六郷渡舟』(初代歌川広重)や、『役者見立 東海道五十三駅』(三代目歌川豊国)を全図揃いで所有するなど、その道では「斎藤コレクション」として知られている。
同館には外国人観光客を含め、多い月は1000人ほどが訪れるという。2020年の東京五輪・パラリンピックでは、羽田空港に隣接する川崎に多くの人が訪問することが期待され、斎藤さんも資料館を継続していきたい気持ちはあった。一方で斎藤さんは88歳。展示設営を自前で行うには体力的に限界を感じていた。 また、年間1000万円ほどかかる運営費の面などもあり休館することを決めた。
今後は常設展示に関心を示す企業などと協議するとし、現在京急電鉄に寄託する方向で話し合いを進めているという。また東海道かわさき宿交流館での展示を計画するほか、来年には近隣エリアでの出張展示も実施する予定。斎藤さんは「現在の場所では休館となるが、これまでと違う形で浮世絵文化の普及に貢献していきたい」としている。
最後の企画展「これぞ日本の宝・珠玉の浮世絵名品展〜師宣・政信・春信から北斎、広重まで〜」は17日(土)まで公開中。開館時間は午前10時から午後5時。日曜日定休。(問)同館【電話】044・222・0310
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