川崎市内の弁護士やNPO法人、行政職員、福祉関連施設職員らで構成される「かわさき子どもの貧困問題研究会」(代表・本田正男弁護士)が3月10日、子どもの貧困問題を考えるセミナーをミューザ川崎(幸区)で開いた。同団体が目指す子どもの貧困問題対策ネットワークの構築促進に向けた企画で、市民や関係者ら100人が聴講した。
かわさき子どもの貧困問題研究会は、2015年、川崎市で起きた中学生殺害事件をきっかけに、実際に貧困問題解決に取り組んでいる弁護士、市や福祉関連施設職員らの勉強会から生まれた。
現在の構成メンバーは弁護士や就労支援センター職員、定時制高校教諭、看護師など。市からも関連部局職員、児童相談所職員らが参加している。活動目的は市内の関係機関や支援グループの連携を深めることに加え、就労活動支援、政策の提言など。地元企業の支援の必要性も訴えており、川崎商工会議所の山田長満会頭からの賛同を得たという。
子どもの貧困に必要なこと
10日に開かれたセミナーには市民や市職員、福祉関係者のほか、議員や他市で貧困問題に取り組む団体も参加。「子どもの貧困問題を考える〜子どもの発達・成長と社会的損失という視点から〜」というテーマで、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)副主任研究員の小林庸平さんが講師を務めた。
「子供の貧困が日本を滅ぼす」の著者でもある小林さんは、生活保護世帯や児童養護施設、ひとり親家庭などの貧困世帯は、一般世帯に比べて進学率、就職率の低いことを指摘。この貧困世帯の子どもを放置した場合、教育や就業機会が失われ、所得が減少、結果として税収減や社会保障支出が増加する「社会的損失」が生まれると話した。
一方、貧困を改善すると、教育・就業機会の拡大、所得の増加、社会保障支出が減少すると話し、子どもの貧困に対して”今”手を差し伸べることの大切さを訴えた。
この活動について「何ができるか探りながら着実に進めていきたい」と本田代表。同団体は7月にもイベントを予定している。
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