麻生区版 掲載号:2017年8月11日号
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現場で指揮をとる花火師として、多摩川花火大会の演出を手がける 竹山 裕之さん 丸玉屋小勝煙火店 49歳

一瞬のきらめき、魂込め

 ○…川崎の夜空を彩り、多摩川の水面に映し出される火と音の芸術。「多摩川花火の魅力は、距離の近さと迫力」。音楽に合わせて打ち上げる名物のハナビリュージョンは「音と光の一体感がすごい」。華やかな舞台の裏側で、事務手続きをはじめ花火製作から当日の進行管理、コンピュータ制御による点火装置の取り扱い、打ち上げや音楽のプログラミングまでこなす現場指揮官として奔走する。

 ○…「火薬を扱うため、ちょっとしたミスが大事故につながりかねない」。安全面を第一に、現場管理の資料作成に至るまで、常に細心の注意を払う。足を運ぶ現場は年間およそ50カ所。1999年、2004年には川崎フロンターレがJ1昇格を決めた等々力陸上競技場の試合で、花火の演出を手がけた。「あのときは勝ってくれて本当によかった。会場の声援や盛り上がりを肌で感じられる。演出をやっていてこんなに嬉しいことはない」。歓喜の瞬間が、ふとよみがえる。

 ○…出身は富山県。小中学生時代はトロンボーンやチューバ、打楽器のほかギター、ピアノもこなす音楽少年だった。大学では電子工学を専攻。所属していた軽音楽サークルの縁で、20代半ばからアルバイトとして門を叩いたのが丸玉屋小勝煙火店だ。花火の運搬や設置など補助業務に数年間携わり、社長の誘いがきっかけで社員に。花火師歴は22年を数える。地域の運動会、お祭りから定番の花火大会、東京ディズニーランドの演出まで幅広い分野の現場を経験してきた。

 ○…繁忙期の夏以外は、作り手目線で各地の花火を見て回ることも。休日には、自宅と職場から程近い多摩川沿いの自然を堪能しながらバイクで走り、湾岸の工場夜景を眺める。「お正月のドバイみたいな、建物を使った豪華な花火の演出をやってみたい」。東京タワーやスカイツリー、レインボーブリッジに思いをはせる。密かな夢を膨らませながら、模索の旅は続く。

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