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柿生文化を読む 第153回 シリーズ「麻生の歴史を探る」大山講 〜雨乞い〜 後編 文:小島一也(遺稿)

掲載号:2019年7月12日号

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長沢の道標
長沢の道標

【前編から続く】

 宿河原の雨乞いの行事は、正八幡神社に村人が集まって、御神酒、供え物を献じ、代参人2名が選ばれ、腰に竹筒を携えて阿夫利神社に詣でます。御師(おし)から「霊水」と、「御幣」(ごへい)と呼ぶ竹串に挟んだ紙で折られた神符を頂き帰りますが、八幡社には、四斗樽に2/3ぐらい水を入れた樽が待っており、そこに竹筒の霊水を入れ、「御幣」を捧げ持つ二人の代参人の頭に樽の水をかけ、雨乞いをしたと伝えられます。

 この大山信仰は、雨乞いだけではなく、特に江戸時代、富士山と並ぶ霊山と庶民の信仰を集めていました。4月5日から20日を春山といい、7月27日から8月17日を夏山と呼び、白い行衣、腰に鈴を付け大山詣での講中が山を賑わせますが、それを証明するのが大山街道(現・国道246号線)で、その間道は現・多摩区・麻生区を通っていました。

 多摩区長沢四丁目、米山商店は、「かどや」「ヤンカ」と呼ばれる老舗で、その街角には「大山道」と刻まれた道標と「大山献灯」と呼ぶ燈篭が、昭和初年頃まではありました。ここは、世田谷の喜多見や狛江から、登戸で多摩川を渡り、生田の大道・長沢・王禅寺・恩田を経て相模に通ずる大山道の支道で(今も交差点あり)、その昔、この燈篭は大山詣での善男善女の足元を照らしたと思われ、米山商店主(勝美氏)のお話では、昭和30年頃までは、村の有志により毎年春山(4月5日〜)になると、2〜3基の大山献灯が復元、灯がともされていたそうで、四丁目辻の献灯には注連縄(しめなわ)が張られ、雨乞いが行われていたようです。

 なおこの燈篭による大山信仰の行事は、下麻生にも昭和10年頃までありました。これは山開きの初日より、下麻生の根方講中(字花島)の講員が、現小島商店前に常夜灯を立てて菜種油を灯して、五穀豊穣、村内安全を願うもので、いかに相模の大山が、霊峰として崇められていたかが判ります。
 

大山燈篭
大山燈篭

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