昨年芸歴50周年を迎えた、落語家の桂文珍さん(71)。全国各地で独演会を行うなか、麻生区にも毎年訪れ今年で15回目となる。2月9日(日)に麻生市民館で開催される今年の本番を前に、文珍さんに麻生区公演の思い出や、今後やってみたいことを聞いた。
東京好みに工夫
「上方落語の楽しさを味わってほしい」と東京近郊でも独演会を行うようになり約20年。関西と関東の行き来を重ねて得たのは、「上方落語の昔のテイストのままではアクが強い。寸止めにして東京の人が好むように」と落語の編集、校正を工夫すること。その工程を「古い仏像を新しい素材を入れずに修復するみたいなもの」と例える。
「川崎の人?」
麻生区では15年前から新春に独演会を開催。第1回目の日は大雪だった。会場に停めた車が積雪のため斜面を上がることができず「車を皆で押したの覚えている。寒いけれどお客さんがいっぱいの会場はあたたかくて」と思い出に残る。
麻生区の人々の印象を聞くと「川崎市なのに『私たちは東京都民よ』とでも言うかのように、川崎市民という意識がないところがおかしい」と大きく笑う。そんな麻生区で”テッパンでウケる”のは「皆さんは川崎の人ですよね?」と客席に尋ねることだとか。
一方「麻生は新しいまちづくりが上手くいっている」とまちの印象も。高齢化が進みつつある中、「社会参画や生きがいが必要になってくる。(落語で)『あー、おもしろかった』と思えるような、まちの文化事業展開のお手伝いができれば」とし、「麻生区でも後味のいい落語を聞いて帰ってもらいたい」。あたたかな眼差しで語る。
芸歴50年を超えて
芸歴50周年を記念し、2月末から20日間に渡り国立劇場(東京都)で日替わりゲストと独演会を行う。合計40演目、総席数3万超えの大興行だ。落語界の大看板が今後目指すのは「どう引き算して良い間でしゃべれるようになるか」。「どんどん肉体的にきつくなるが、老いをプラスに変えることが美しく老いる手法。歳をとるのを楽しみたい。楽しまないと損」と笑顔を絶やさない。
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