区民が愛した店コロナ影響で幕 新百合ヶ丘「シノワーズ」
「ご利用いただいた皆さんに本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」。新百合ヶ丘駅前の中華料理店『シノワーズ』。多くの人に惜しまれつつ5月5日、29年の歴史に幕を閉じた。代表取締役の金子拓哉さん(44)に話を聞いた。
創業30年を目前に年末年始は多くの来店者で上々のスタートとなった2020年。「希望の年になる」と期待を膨らませていた。しかし一変したのは、国内初の新型コロナ感染者が確認された1月下旬。かかってくる電話は予約のキャンセルと、「料理しているのは中国人か」など国籍についての中傷。「電話ベルを聞くのも嫌だった」と振り返る。客は減り、宴会はすべてキャンセル。テイクアウトでの営業継続も考えたが、「700万円以上の売上がないと月々の経費は払えない。テイクアウトだけでは赤字を積み重ねるだけ」と見送った。
眠れない・笑えない状況が続き思い悩む金子代表に、15年以上ともにしてきた杉山公男マネージャーも「社長の思うようにしていいですよ」と声をかけた。3月中旬、閉じることを決心した。
19年前にシノワーズに入社した金子代表。「今思い返しても、お店を利用してくれたお客さんやスタッフのおかげだったんだなと思うんですよ。いい人に恵まれました。でも最後に、皆さんに迷惑をかけてしまった。本当に申し訳ない」。声を振り絞った。
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