新型コロナウイルス感染症の流行で、人々の暮らしは変化を余儀なくされた。何が変化し、そしてこの先、どんな可能性があるのか――
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ふかふかのやわらかい土に、ずらりと並ぶのはコールラビ、バターレタスなどの野菜。古沢の農家、井上広基さんは「取引先からの要望があって生産している種類も多いし、いろいろ作ってみたいという自分の研究でもある」と笑ってみせる。これから夏野菜は収穫のピークを迎える。
飲食店への野菜卸が多いという井上さん。麻生区内にも取引先があるが、緊急事態宣言下にはその多くが休業となった。一方、所属する直売会「柿生野菜生産者直売所」での販売は継続された。今までとは違う状況ではあったが、需要は高かった。「家にいることが多くなり、家庭で調理する機会が増えたことが大きいのかなと思う」と井上さん。時間のできた飲食店のシェフが畑を手伝いに来て、普段と違ってゆっくり話ができるという副産物もあった。
若手農家グループ「畑から、台所へ。」のメンバーでもある井上さん。区内スーパーにコーナー設置やSNSを使った発信、イベントの出店などを通じ認知を広げてきた。3月から出店はなくなったが、知り合いのラーメン店が店頭に野菜を置いてくれるなど身近な人が協力を申し出た。人の絆を感じるとともに「地元でとれたものに関心のある人が多い地域でもある」と再認識した。
「身近で生産し、身近で消費されるのが都市農業の良いところ。コロナ前から考えていたが、今後は移動販売もやってみたい」。井上さんは目を輝かせる。
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