会員が減少傾向にある川崎市内の商店会では、街路灯維持に苦慮する声が上がっている。財源が先細りする中、電気代や修繕費など維持管理費が運営を圧迫するケースも。市商店街連合会は補助率引き上げを市に求めているが、具体策の見通しは立っていない。
市商連によると、街路灯の老朽化が各所で進み、増大する修繕費と会費収入減少が深刻化。コロナ禍で今春以降、会費を減額または免除する商店会もあるという。深瀬武三会長は「街路灯は夜間の防犯も担うので、補助率の引き上げを毎年議会に要望しているが『検討します』という回答が続く。せめてコロナの影響がある今だけでも認めてほしい」と漏らす。
一方で、市担当者は「コロナ対策として補助率引き上げは議論の余地があるが、あくまで街路灯は商業用」とし、実現には至っていない。
市内の街灯は、商店会が設置する街路灯、町会や自治会が設置する防犯灯、市が所有する道路照明灯の3種類。街路灯の修繕費は商店会が負担し、電気代の6割や新設・撤去費の5割を市が補助。防犯灯と道路照明灯は市が全額負担する。
市「撤去も視野に」
市によると、2019年度末時点の商店会は197団体で、街路灯を所有するのは137団体。中には対策する商店会もある。多摩区の区役所通り登栄会商店街振興組合は3年前、市の補助金を活用して23本全てをLED化。修繕費を含め年間100万円だった出費が、10分の1に削減された。三平雅美理事長は「交換に1000万円弱かかったが、効果の方が大きい」と話す。
一方、撤去に踏み切るところも。中原区の木月4丁目商店街は、貯めていた街路灯費と補助で昨年までに全撤去。草野宏会長は「老朽化で、安全面と後々の負担が心配だった」と話す。町会に防犯灯を設置してもらうことで夜間対策。各商店も任意で店先にLED球を取り付けた。会員減の末に解散する商店会もある中、市が危惧するのは街路灯の放置。担当者は「市の所有物ではないので解散後は手が出せない。支援はするが、維持が困難であれば撤去も考えてほしい」と話す。
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