昔から子どもたちが手に取り、正月にも遊ばれてきた、こまやけん玉。千代ヶ丘の(有)博進社では、こまやけん玉など手作りの木工玩具を製造販売している。
同社は1971年8月に創業、今年で50年目を迎える。社長の鈴木博さん(83)は元々貿易会社に勤務。「自分で何かやろう」と退社し、金属アクセサリーの製造を始めた。取引先から勧められたこともあり、その後、おもちゃの製造販売を始めた。
細山で3年ほど民芸店を開いていたこともあったが、現在は千代ヶ丘の工場で、家族と一緒に作業にあたる。こまは1日に1千個、けん玉は1日に400から500個ほど絵付けやパーツ組立てを行う。幼稚園や学校のほか、地方の物産館からも発注を受けるという。
3cmに工夫ぎっしり
鈴木さんのこだわりは「よそが作らない商品を開発したい」。3センチほどの大きさの「逆立ちこま」は、底が丸い形をしている。上についた軸を強くまわすと、遠心力でだんだんと傾き、軸が下にひっくり返ってまわる。回転の秘密は、こまの重さや軸の長さのバランスで、「どれか一つかけてもだめ」。小さなこまの中に、鈴木さんの工夫がつまっている。
特許を取得している「透明こま」は、底が丸く、球状のフルーツをくし形に切ったような側面に細い線が絵付けされている。軸をまわすと、半透明になったこまの上部に山が出現するかのように見える。目の錯覚を利用しているのだが「試行錯誤している中で、偶然できたもの」と鈴木さんはにやりと笑う。
他で修行したことはなく、独自におもちゃを制作。「現実的には費用はかかるけれど、これから作りたいもののアイデアはいっぱいある」。探求心は止まらない。
手にとって成立する玩具
木工玩具の遊び方はシンプル。だからこそ、子どもたちには「手にとりながら、面白い遊び方を考えてほしい」と思いをこめる。「こまやけん玉は自分の手にとって成立するおもちゃ。子どもは、素材を与えればいろいろ考える。けん玉は技が多いし、こまのまわし方もいろんな方法がある。一人ひとり、遊び方はちがっていい」と優しく語る。「考える余白みたいなものがあれば、そこから、いくらでも遊び方は広がる」
商品は同社HPやセレサモス麻生店でも販売。市のロゴをモチーフにした「逆立ちこま」と、「透明こま」は、川崎市観光協会が認定する「かわさき名産品」にも選ばれている。
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