小田急線鶴川駅の南側、古くから養蚕で栄えた麻生区の飛び地「岡上」。先日、この地域で取材をしている際に、地元住民から「岡上に象がまつられた珍しい蔵がある」という情報を入手。早速、記者は現場に駆け付けた。
麻生区の中でも、鶴川駅からさほど遠くない同地域には旧家が立ち並ぶ。その中の、とある1軒に情報のあった「象がある蔵」が存在した。
時期も理由も不明
象がある場所は、蔵の扉上部についた庇の上=写真。70代だという家主に話を聞くと、「生まれた時から蔵はあった。岡上にもう1軒あると聞いているが、いつからか、どうしてなのかわからない」と話す。蔵は屋根や壁面は過去に修繕をしたが、象はそのままにしてきたという。
珍しい装飾
民俗学に詳しい川崎市市民ミュージアムの学芸員に聞いてみた。「推測の範囲で」と前置きし、「蔵の上に象があるのはあまり見ない。木造建築の『木鼻』に、このタイプの象が彫られていることがある」と話す。
魔除けや縁起を担いで庇や屋根の上に像を置くことがあるそうで、仏教とのつながりでみると象は神聖なものとみなされていた。同学芸員は「ガネーシャ神であれば商売繁盛や繁栄を司る神として縁起物として見られることがある。今回の象は、縁起物や神仏として飾っているとしたらデザインがシンプルすぎる」と疑問を抱く。
また、象が一般的に周知されたのは近代に入ってからで「大正か昭和あたりに装飾として作られたのではないか。土蔵にも庇の上に彫刻や装飾があしらわれているものがあるため、その可能性が高い」と答えてくれた。
設置された理由など真相はわからないが、珍しい装飾である可能性は高そうだ。
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