色鮮やかな複数の糸を幾重にもつむいで作られる「手まり」。古来から遊び道具として広まり、今では伝統工芸品、装飾品として親しまれている。今は亡き母親が制作した手まりを「大切にしてくれる方に差し上げたい」と千代ヶ丘在住の女性(68)は話す。
もともと中国から伝わったと言われている「手まり」。明治時代にゴムまりが普及し始めてからは、遊び道具としてではなく贈り物や、手芸品として親しまれてきた。京都や米沢、松本など織物の糸の生産地では、余った糸を使って作成され、地域の伝統的な工芸品になっている。
その手まりを趣味で手掛けていたのが、千代ヶ丘に住む女性の母親だ。多趣味で手先が器用だったという母親は、洋裁や鎌倉彫をたしなんでいた。25年程前に「手まり」に出合い、友人と新宿のカルチャー教室に通い始めた。
球体の芯に木綿糸をかがり、いろいろな模様を浮かび上がらせる。自宅でコツコツと一つひとつ、時には幾日もかけて作成。直径3センチから12センチまで、さまざまな大きさの手まりをつくっていたという。女性は「友人の姪っ子の七五三で撮影のときに小物として使ってもらって、喜んでもらえたのを覚えています」と懐かしそうに語る。
手まりづくりを10年ほど続けていたが、けがをしてから断念したまま、昨年10月に89歳で他界。作りためた大小70個の手まりが自宅に残された。「私もいなくなって、何も知らずに処分されることになったら母がかわいそう。だから、大切にしてもらえる方がいたら差し上げたい」と女性は話す。
希望者は、高石地域包括支援センター【電話】044・959・6020。
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