2022年の干支・寅年にあわせ、片平の「夏蒐山修廣寺(なつかりさんしゅこうじ)」で薬師如来像(通称・寅薬師)の開扉が今年秋に行われる。寅年のみ、12年ぶりの披露と同時に、26世から27世へ住職が交代。節目の年を迎える。
同寺は釈迦如来が本尊だが、本殿には御前立として「薬師瑠璃光如来」の座像を安置。普段は公開されていない。
同寺は15世紀初めに開創した曹洞宗の寺。「行基」作とも伝えられている薬師如来像だが、開扉がいつから行われているか、はっきりとした記録はない。「約15年前の位牌堂の工事時にも寅薬師に関連する仏具が出てきた。相当昔から行われていると思う」と菅原節生住職(78)は話す。
方角に関係か
なぜ「寅年に開扉」かもわかっていないが、節生住職は「薬師さまは東方浄瑠璃世界(現世)をお守りくださり、病気を治していただく。寅の方角が東のほう(東北東)なので、関係があるのではないか」と考える。寅薬師は「目の病気に効く」とされ、「昔の流行病に目の病気が多かったからでは」とも語る。
開扉時は、薬師如来像が安置されている本堂の前の庭に柱を設置。薬師如来像の指にかけられた五色の糸が本堂をつたい、本堂から柱までは五色の布がつながる。参拝者は柱の布に触れることで薬師如来と手をつなぐことになり「大変なご利益がある」という。
今年はコロナ禍からの寅薬師開扉。節生住職は「一昨年前から痛みを抱えた人がいっぱいいると思う。体の健康とハートの両方を癒することになれば」と思いを寄せる。
「お祭りのように」
同寺の寅薬師開扉は「お祭りのような感じ」と住職の妻・陽子さん(74)。開扉と一緒にほかの法要も行うのが慣例だ。前回2010年は位牌堂の落成を祝い、弦楽演奏や、太鼓指導者でもある陽子さんが地元有志と創作した「寅舞い」が華を添えた。
今秋は、客殿庫裡の完成と、住職の交代を同時に行う。住職として迎える最後の開扉。節生住職は「12年は人生の変化が目に見える期間。私も御開扉を迎えるごとに新しい一歩を歩めてきたと思う。開扉の年に健康でバトンタッチできるのは感慨深い」と話す。
寅年に住職を継ぐのは寅年生まれの副住職・敦生さん(47)。「歴代の住職や檀家さんが守ってきた修廣寺を引き継ぎつつ、私自身で何か新しいことをしていければ」と思いを新たにする。
大法要は10月21日、22日に予定し、前後にはイベントも企画中。「お参りできる日数は法要の前後にもあるので、慌てずにいらしてほしい」と陽子さんは話している。
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