剣誠会の相談役として川崎市大会小学生の部4連覇に導いた 樋川 芳久さん 幸区古市場在住 84歳
剣道一筋の好々爺
○…「指導者の役目は、子どもの特性を見抜いて、そこを伸ばしてやること。自分の形を押し付けるのは嫌いです」。幸区の剣道教室・剣誠会の相談役として、同会小学生の部を川崎市大会4連覇、幸区大会11連覇に導いた。指導歴はすでに60年を数えるが「優勝を目指せ」と言ったことはないという。一本でも多く振ること、基本を大切にすることを教えてきた。自身も7段の腕前。その実力は衰えておらず、同会の50代の指導者が「未だに勝ったことがない」と舌を巻くほどだ。幸区剣道連盟の会長も務めている。
○…剣道を始めたのは小学校4年生の7月21日。「その日からずっと剣道ですから」と、日にちまではっきり覚えている。先祖が武田信玄の家老だったと母親から聞かされてその気になり、いつの間にかのめり込んでいた。稽古生が少なく、師匠につきっきりで教えてもらえるからと、雨の日や風の強い日も喜んで道場に足を運んだ。
○…ただ、何にでも素直に打ち込んできたわけではない。剣道を始める前は、柔道場に入門していた。しかし柔道の絞め技で「落ちる」選手を見て震え上がり、転向を決意。「嫌なことがあったら、すぐにやめてきました」といたずらっぽく笑う。「剣道のない日はない」と、稽古だけは一日も欠かしたことがない。
○…夫人と2人暮らし。子どもはおらず、教え子たちを「自分の子どもみたいなもの」とかわいがっている。そんな姿勢を慕ってか、道場に出入りする子どもたちは、自ら進んであいさつしにくる。取材中にも5歳くらいの男の子が「樋川先生、さようなら」とペコリ。気持ちのいいあいさつに「またね」と微笑んだ。
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4月26日
4月19日