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川崎区・幸区版 公開:2013年8月30日 エリアトップへ

関東大震災90年 多民族共生考えるシンポ 市民グループ企画 教文で

公開:2013年8月30日

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「両面の事実があると知ってほしい」と山田さん
「両面の事実があると知ってほしい」と山田さん

 90年前の関東大震災で川崎での朝鮮人虐殺と保護の事実を調査した市民グループが来月8日(日)、富士見の川崎市教育文化会館でシンポジウムを開く。主催者は「美談だけでない。かといってひどいことがあったばかりでもない。両面の事実を知ってほしい」と訴える。

 「関東大震災から学ぶ多民族共生への道」と題したシンポジウムを企画したのは、市民グループ「かわさきマウル」。

 1923年(大正12年)9月1日に発生した関東大震災では「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「暴動を起こしている」といったデマが街中に流れ、多くの朝鮮人が自警団などによって殺害された。東京、横浜ではこうした記録が残されているのに対し、川崎ではこれまであまり調査が進められていなかったという。

 同グループは昨年4月から1年かけて当時の新聞や県立公文書館所蔵の文書、川崎臨港消防署婦人消防士グループが編集した資料などから情報を収集し、報告書としてまとめた。関東大震災から90年という節目の年に、その報告の場としてシンポジウムを開く。

 調査に携わった一人でフェリス女学院大学や法政大学の非常勤講師を務める山田貴夫さんによると、関東大震災で川崎で虐殺された朝鮮人は3人だった。朝鮮人と見誤られた日本人1人も殺害された。

 一方で朝鮮人を保護した人たちもいたとも語る。山田さんは多くの群集たちが迫害を加えようとしたのに対し、土木を請け負う親方たちが制止をした点や、当時田島町長の助役だった栗谷三男氏の奔走で渡田の新田神社に180人の朝鮮人が保護され、のちに、鮮人親友会という団体から吉澤保三町長に対し、お礼の銀杯が贈られたという事実にも触れた。

 山田さんはデマが引き金となった朝鮮人虐殺について、昨今各地で在日外国人を標的に行われている「ヘイトスピーチ(憎悪表現)の原型」だと指摘。「日ごろ付き合いがなかったことが虐殺につながったのでは」との見方を示す。一方、流言飛語を信じなかった土木業の親方たちについては「日ごろから仕事を通じて朝鮮人の人柄に接していた。ここに多文化共生のヒントがある」と力を込めた。

 シンポジウムは、同グループによる報告のほか、関東大震災と朝鮮について研究する田中正敬専修大学教授(現代史)の基調講演もある。1部では震災で殺害された人への追悼式を行い、韓国伝統舞踊の第一人者が鎮魂の舞を披露する。

 教育文化会館大会議室で午後1時から4時まで。

 詳細は、川崎市教育文化会館(【電話】044・233・6361)。

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