在日韓国・朝鮮人の歴史や民族差別の現実をQ&A形式で解説した『新 在日韓国・朝鮮人読本 (リラックスした関係を求めて)』がこのほど、緑風出版から刊行された。著者の一人は区内在住でフェリス女学院大学、法政大学で非常勤講師を務める山田貴夫さん。
同書は梁泰昊(ヤン・テホ)さん(=故人)が95年に執筆し、ロングセラーとなった『在日韓国・朝鮮人読本』の増補改訂版。初版から20年経過した中、在日韓国・朝鮮人に関係する法改正や重要な判決があった一方、共生に逆行する動きもあり、全面的に書き改められることになった。
著者の山田さんは70年の日立就職差別裁判の支援運動をきっかけに梁さんとの付き合いがあった。出版社から原著者と一緒に活動していた人に加筆してもらいたいとの要望があり、山田さんは知人を通じて依頼を引き受けた。4月頃から執筆し始めたという。
A5判で272ページ。「在日韓国・朝鮮人の数はどれぐらいいるのですか?」「法的地位は?/国籍はどうなっていますか?」といった質問が平易な文体で書かれ、高校生、大学生から気軽に読める。
在日韓国・朝鮮人が日本に渡った経緯や戦時労働動員、創氏改名の歴史、解放後の活動、小松川事件、指紋押捺拒否運動、公務員として働くことに制限があることや帰化に反対意見の多い理由など、計26の質問についての解説がある。
戦後補償や朝鮮学校の無償化をめぐる動きのほか、人種や国籍などの差別をあおるヘイトスピーチ(嫌悪表現)問題についても言及している。
資料には、最新の統計データや新聞記事などを使用。前著に比べ、脚注解説が充実しているほか、川崎市で起きた在日韓国・朝鮮人に関係する事柄が多数盛り込まれているのも特徴だ。
山田さんは「ヘイトスピーチや嫌韓本に書かれてあることが本当に正しいかどうか、この本で確かめてもらいたい」と話す。
価格は税別2千円。主要書店で販売されている。
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