東海道かわさき宿交流館(青木茂夫館長)の1階に、歌川広重の浮世絵をタイルで表現したモザイク画が展示されている。幸区に住む長田利美さん(88)が1969年に製作した後、市に寄贈したものだ。長い間市役所本庁舎2階講堂の物置場に置かれていたが、14年に市職員によって発見されたのを機に、同館で展示されることになった。長田さんは「まだあったのか。亡霊が出てきたような感じ」と笑う。13年には同館が開館し、近頃は東海道を歩くツアーも盛ん。「最近のブームがなければ、この作品が日の目を見ることはなかったかもしれない」とも口にする。
作品は、1センチ四方のタイル2万枚以上を使い、東海道五十三次の川崎宿を再現。タイル部分以外も含めた全体の大きさは縦約175センチ、横約260センチ。完成までには2、3年かかったという。
長田さんは、57年から幸区で「玉穂工業」というタイル業を営み、仕事のかたわら制作した。自宅の本棚には世界の美術館の全集が並ぶなど、あらゆるジャンルの絵に興味があったが、特に興味があったのは東海道五十三次の浮世絵。仕事で銭湯の壁画を手掛けた際に「自分が好きな浮世絵でモザイク画を作りたい」という思いを抱いていた。
タイル業を始める以前には、貝塚や渡田に住んでいたこともあり「出身は御殿場だが、川崎には愛着もありお世話になったという思いがあるので、川崎宿を描こうと思った。本当は、五十三次すべてを作ってみたかったけれどね」と話す。また、「交流館を訪れる人達には、タイルで表現した浮世絵を見て、かつての川崎宿に思いを馳せてもらえたらうれしい」とも話した。
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