川崎市は2012年から実施している、小・中学校における「医療的ケア」を実施する事業を今年度から拡充。ケアを必要とする児童・生徒の保護者の負担軽減を図る。
同事業は市立小・中学校において、保護者が毎日付き添い医療的ケアをしているケースを対象に、週1回看護師が学校を訪れ、保護者の代わりにケアを行うもの。ケアを必要とする子どもの親の声をきっかけに、12年6月から市が実施。訪問看護ステーションとの連携を図るケースとしては全国に先駆けての導入だった。
学校における実施可能な医療的ケアは、痰の吸引や経管栄養、導尿、インシュリン注射があり、こうした行為は、医師・看護師のほか保護者、本人しか法律上認められておらず、学校では一般教職員はできないため、本人が無理な場合は保護者が来校し実施することになり、その負担は計り知れない。
そうした背景から、保護者らの声を受けて実現したのが同事業だ。
事業の流れは、保護者が依頼書と医師の指示書を添えて学校に依頼。学校は教育委員会に申請し、同時に看護師との連携を図るために同ケアに係る校内委員会を設置。教育委員会は各訪問看護ステーションに委託。ステーションから看護師が訪問しケアを行い、実施後報告書を提出する。
訪問時間は、市重度障害者訪問サービス等支援事業基準を参考に週1回・90分。
実施後の利用対象児童生徒数と利用実績は、12年度(6月から実施)9人/216回、13年度8人/291回、14年度11人/352回、15年度13人/415回と、着実に増え、今年度は現在12人が利用している。
学校・保護者とも好評で、「保護者の一定の負担軽減につながった一方、児童・生徒が自力でのケアが可能となるケースや、看護師と学校の連携により安全・安心な環境作りが図られたケースが見られた」という報告も上がっている。
そうした状況をうけ、市は今年度1707万9千円の予算を計上(14年度決算額451万5千円、15年度同533万3千円)し、事業を拡充した。
新たな制度では看護師の訪問時間を、週2日もしくは2週分を組み合わせての3時間利用を可能にした。
いずれも保護者からの要望として挙げられていたもので、市は「今後さらに保護者の負担軽減が図られるはず」と話している。
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