プロ野球・中日ドラゴンズで50歳までプレーし、昨シーズン引退した山本昌(本名 山本昌広)さんが21日、富士通スタジアム川崎・かわQホールで川崎フロンターレU―18の選手たちに講演した。山本さんは「プロになること」をテーマに、準備することの重要性や置かれたポジションで全力で取り組む大切さを説いた。
山本さんは1984年、中日に入団。昨シーズンまで32年間、現役生活を送った。
同スタジアムを訪れるのは「日本大学藤沢高時代、夏の甲子園県大会の予選で(同スタジアムの前身である)川崎球場のマウンドを踏んで以来」という山本さん。この日はサッカーJ1・川崎フロンターレから「トップアスリートの生き方を伝えてほしい」との依頼を受け、U―18の選手18人に経験談を交えながらプロ論について語った。
冒頭、山本さんはJリーガーの卵である選手たちに向かい「時間は意外とない」と強調。「後に後悔しないためにも今、自分がどのように考えて練習するのかがとても大切になる」と心構えを説いた。
山本さんは高校時代、韓国選抜チームとの対戦時にエースの代わりに登板し投手になったことでプロのスカウトから声をかけられることになったエピソードを披露。「人生の転機はどこで起きるかわからない」とも述べた。
プロでは歴代16位の219勝を挙げた山本さんだが、入団当初は1勝もできず苦しんでいた。4年目にアメリカへ留学し、基本である低めへのコントロールの意識を恩師・アイク生原さんから徹底されたという。帰国後、念願の1勝を上げ「自身の今のポジションを全力でやることが大切だと痛感した」と語った。
32年間の現役生活では日本シリーズをはじめ数多くの大舞台で投げてきた山本さんは「緊張しない試合はない」とも強調。「緊張とうまく付き合っていくには、試合に向けての準備をやり残したことがないところまでやりきることが大切」と述べ、「そのためには、日々の自分のルーティンが大切」とも説いた。
現役中に心がけていたことについては試合前、スパイク・グローブをピカピカにすることやグラウンドにつばをはかない等、道具やマナーに気を遣っていたという。その行いが50歳までやりきったプロ野球人生に結びついているとも語った。
講演後、ユースチームの選手たちからモチベーションの保ち方について質問を受けると、「自分ができる目標で小さなことをコツコツ毎日やることが必要」だと答えた。また、一人の人間として大切にしていることは何かという質問に対しては、「自分をうらぎらない。野球と自分に嘘をつかないことを意識していた」と語った。
講演を聞いた田中碧さんは「小さなことからコツコツと続ける大切さを改めて理解した」と述べた。
川崎区・幸区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|