聖マリアンナ医科大学(宮前区菅生)の皮膚科学研究チームから生まれたベンチャー企業(株)ナノエッグ(本社・東京都港区/山口葉子代表取締役社長)は、「先端医薬・ヘルスケア研究所」を川崎区殿町のナノ医療イノベーションセンター内にこのほど新設した。
同センターは先端医療の研究拠点として産学官の連携をとりながら課題解決の研究・実用化に取組む施設。
同社では、投薬技術の研究領域の拡大や研究スピードを速め、投薬技術開発を本格化させるため、これまで聖マリ医大内にあった研究機関の移転・同研究所の新設を決めた。
途上国を救う『針なし』の投薬
今回の研究所新設は、同社が創設当初からの目標としている「注射針を使わない投薬技術」の研究開発等の本格化に伴うもの。
この注射針を使わない投薬技術とは、薬剤を皮膚に塗るだけで必要とする患部に届け、効率良く作用させるというもの。実用化されれば、物資の少なさや衛生面で問題を抱える発展途上国でも注射針を使わずに投薬が可能となる。
同社では2006年の創業以来、聖マリ医大との共同研究をしており、すでにナノ(10億分の1)メートルという極小のカプセルで薬効成分を覆い、皮膚に浸透させる独自の技術を開発。応用した化粧品の販売を行っている。
また今年2月には功績が認められ、日本ベンチャー大賞の経済産業大臣賞、女性起業家賞を受賞した。
山口代表は「創設当初からの目標をより迅速に具現化するための新施設。皮膚疾患に悩む人々の力になれるよう、社員ともども研究開発にまい進していく」と決意を新たにした。
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