床面に塗られたワックスを水で剥がし、発生した廃液を、おう吐物凝固剤や防虫剤・消臭剤としてリサイクル――。川崎区鋼管通の和光産業(矢口寛志代表取締役)がCO2削減を意識したメンテナンス「ワクスル グリーンクリーニング」を開発し、ビル清掃業界に新風を起こしている。コスト低減にもつながり、行政や企業から注目され始めている。
従来、床面清掃は洗剤を使用してポリシャーなどの機械で床を研磨し、ワックスを剥がし、1年に1回程度、新品同様の床にするため剥離剤を使った大掛かりな清掃を行う。このうち、剥離剤で発生した廃液は産業廃棄物として処分しなければならない。処分費用は1リットル当たり85〜100円。一般的にはビルオーナーが支払うことになっているが、中にはその費用負担を嫌うオーナーもおり、業界でも頭を悩ませている。剥離剤廃液の垂れ流しも行われ、多くの自治体の問題にもなっているという。
こうした中、同社は剥離剤を使わず、水だけでワックスを研磨、さらに発生した廃液の中からワックスポリマーを抽出し、おう吐物凝固剤や防虫剤・消臭剤にリサイクルする「ワクスル グリーンクリーニング」を開発した。名称のワクスルには「ワックスとワクワクするの意味を掛け合わせている」と、中西正敏取締役は説明する。
CO2削減はビルメンテナンス業界のイメージ向上になるとも考え同社は「床ワックスをリサイクルする会」を設立し、賛同を呼び掛けている。関心は示すものの初期投資のコスト面などで二の足を踏む業者もおり、同社は今後、啓発活動に力を注ぎたいとしている。 他方、行政や取引先の関心は高い。川崎市は「低CO2ブランド」に認定。市環境局では環境意識の高い企業などに取り組みを紹介し始めている。
玩具とベビー用品の総合専門店である「日本トイザらス」は、環境負荷低減に積極的に取り組んでおり、この取り組みに賛同。数店舗で試験導入を試みたところ、仕上がり具合も良く剥離剤廃液処理のコストも削減されたことから、今年中に10店舗まで導入を広げていく方針を示している。
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