川崎市ふれあい館(川崎区桜本・田貞桃(チョンチョンド)館長)は同館設立30周年の記念誌をこのほど発行した。同館の歩みを紹介するとともに、発行するふれあい館だより連載の人気コラム「新作路(シンジャンロ)」106本分を収録した。コラムには、同館が取り組む様々な実践課題と向き合い、寄り添う職員のその時々の心情が綴られている。
在日、多文化共生などテーマ
新作路は、2代目館長で現在、同館を運営する社会福祉法人青丘社理事長を務める裵重度(ペェチュンド)さんが発案。1988年11月から同館が毎月発行する「ふれあい館だより」で連載が始まった。
コラム名は、開墾した農地に村人が総出で道を造ったことに由来する。その道は決して平たんではなく、石ころだらけで石ころを取り除き、課題を見つけ、新しい道を創り、通していくもので館の実践活動とも通じるという。
同館職員の裵秉胄(ペェピョンヂュ)さんによると、当初は裵重度さんが一人で執筆していたが、今では同館の多くのスタッフが携わる。外国人や障害者差別解消に向けた実践活動、多文化共生のあり方、外国人市民の生活課題、識字学級や中学生の学習サポート、ヘイトスピーチ問題などで直面した苦悩や課題、問題提起などが800字程度で綴られている。「人権施策に取り組む関係者が関心をもって読んでいる」という声も同館には聞こえてくる。
日本社会の現状分析
のべ300本超あるコラムのうち、記念誌には100本超を掲載。「時代と向き合いながら新たに課題となり、それが事業化されたものを中心に掲載した」と編集に携わった同館前館長で青丘社事務局次長の原千代子さんは語る。その上で「ふれあい館の歩みを知っていただくとともに在日コリアンやふれあい館から見た日本社会の現状や分析を知る機会にしていただければ」と話す。
記念誌はA4判で217ページ。現在、同館を訪れた希望者に無料で配布している。問い合わせは【電話】044・276・4800。
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