今後の住民自治の新たな仕組みを検討してきた川崎市が、11月15日に素案を発表した。「市民創発による市民自治」などを掲げるが、市議会からは「抽象的」との指摘もある。市は「小さな取り組みを重ね、市民と新しい自治の形をつくりあげていきたい」としている。
素案は、区民会議などこれまでの自治施策の再検討や各区で開かれた住民検討会の意見などを踏まえて策定された。課題には住民の担い手不足や高齢化、他の会議との重複感などがあがっていた。
そこで市は、新たな施策では区民の一部ではなく、住民一人ひとりが地域の活性化や課題解決に取り組み、その支援や解決に行政などが協力する仕組みをめざす。そして、その取り組みの活性化や着実な支援のために「地域」「区域」「市域」の3層制を想定。例えば、「地元を盛り上げる祭りをしたい」という地域の取り組みに「区域」の行政やNPOが他団体や専門家を紹介するなどし、さらなる助成や支援が必要であれば「市域」の組織につなげる考えだ。
また、行政自体のあり方にも言及。助成金に力点を置く支援の見直しや、縦割り行政の解消、職員が地域に入り、一緒に解決策を探る新たな自治体像の構築を計画する。
市「分かりづらさ」認識
市民参加と協働による地域課題解決の「新しい発想」として素案を発表した川崎市。しかし、その中には「市民創発による市民自治」「多様な主体の連携」など抽象的な表現も多く、ある市議は「市の描く将来像が分かりづらく、市民と共有できるのか疑問。形として見えづらいだけに進捗をどうチェックしていくのか」と指摘する。また、区民会議の元メンバーは「市民が行政に提案、提言できる仕組みは維持されるのか」と不安視する。
市の担当者は現段階での形の見えづらさを認めつつ、「説明会や広報で丁寧な説明を重ね、浸透を図りたい。実効性については小さな取り組みを積み重ねながら市民と一緒に形をつくり、まずは10年後の2028年を目標年度としたい」とする。また、市民が区政に提言、参加できる仕組みも盛り込んでいきたいとする。
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