新型コロナウイルスの影響で失業や収入減少に悩む生活困窮家庭を支えようと、川崎区内で「フードパントリー」と呼ばれる食糧保管拠点の開設が広がりを見せようとしている。新たな地域づくりとしての役割を担う期待が集まる。
フードパントリーは、企業や地域住民から集めた食糧などを生活に困窮する家庭に無償で提供する活動で、全国的に広がりを見せている。市内では今春、新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言で学校の休校と「子ども食堂」の自粛が余儀なくされたのが契機。川崎区内の福祉機関などで構成される連絡協議会は「切れ目のない支援を」との思いから、川崎区田島町の「たじま家庭支援センター」内にフードパントリーを開設。同センターに集まる食材を複数の社会福祉法人が利用する。
この取り組みを下支えするのが、川崎市社会福祉協議会(市社協)だ。市社協は現在、この事業を「食糧支援かわさき」と銘打ち、食料寄付の窓口などの役割を担っている。市社協では「生活福祉資金特例貸付」の申請者に貸付が行き渡る10月末までの限定で実施する。その後は課題を検証し、継続を検討するとしている。
たじま家庭支援センターでは、2歳から就学前の子どもを抱える生活困窮家庭に届けている。「食糧のほか、離乳食やおむつなども必要としていることも分かった」と江良泰成たじま家庭支援センター長はニーズの広がりを痛感。食糧支援に加え、就業相談や育児の悩みなどサポートが必要な人を適切な相談機関につなげることも重要だと語る。
「桜本子ども食堂」(川崎区桜本)は、たじま家庭支援センター内のフードパントリーを利用した支援活動に加え、先月から独自のフードパントリーを立ち上げた。経済的に厳しい状況にある同食堂周辺地域の子育て世帯を対象に、月に一度の割合で食糧配布活動に取り組むとしている。「子育てする中で生活に苦しさを感じている当事者に、背筋を伸ばしてこの制度を利用してもいいんだと思われるようにしていきたい」と同食堂の運営に携わる関係者の一人は語る。
フードパントリーへの関心は高まっている様子で、新型コロナが収束したら参加したいという高齢者施設や寺社などもあるという。「地域包括支援など新たな見守りの一つの形となりつつある」と江良さんは指摘する。
食糧の寄付呼びかけ
市社協と桜本子ども食堂は現在、フードパントリーのための食糧の寄付を呼びかけている。「地域福祉に目を向けるきっかけにしてもらえば」と市社協担当者。対象は、常温保存できる未開封の缶詰やレトルト食品、インスタント食品、乾物などで、原則、消費期限が2カ月以上あるもの。
受付場所など詳細は、市社協ボランティア活動振興センター【電話】044・739・8718(平日午前8時30分から午後5時)。桜本子ども食堂は(【携帯電話】080・7536・9828)。
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