市立川崎中学校(川崎区下並木・山本篤校長)を今春卒業した135人の生徒が制作したタイル画が旧東海道沿いの京急八丁畷(はっちょうなわて)駅前に掲げられた。昭和初期の同駅前の風景を再現したタイル画は、生徒らの思い出と共に、昔を知る地域の貴重な財産としたい考え。
タイル画の大きさは縦85cm、横175cm。駅舎と線路を走る電車、ボンネットバスが描かれている。使用したタイルは1cm弱のもので10色。もとの写真は白黒だったが、美術科の佐藤ゆめ子教諭が昔を知る人や京急に聞きながら作画しやすいように色付けした。バスだけは当時の色が分からず、今の臨港バスを参考にしたという。今年1月から美術の授業と放課後の時間で制作し、3月4日に完成した。
題材の写真は1929(昭和4)年に同校近くの八丁畷駅を撮影したもの。かつての地域と歴史を知ることのできる貴重な写真で、同校の沖野浩教頭が京急ミュージアム(横浜市西区)に展示されているものを偶然見つけた。同ミュージアム担当者によると八丁畷駅は京急グループがバス事業を始めた場所で、写真は当時の様子が残る唯一のものだという。
石川愛美(あいみ)さんは「最後にみんなで作ったものが飾られて、思い出が残ってよかった」、勝山珠蓮(しゅれん)さんは「川崎中の生徒が作った作品としてみてもらいたい」とそれぞれタイル画について思いを語った。
作品は2代目
同じ場所にはかつて下並木町内会が2001年に同校に依頼して制作した安藤広重の浮世絵「東海道五十三次・川崎宿」のタイル画があった。しかし一昨年の台風19号の影響で大きく破損。修復を要望する声もあったが状態があまりにも悪く、同校から町内会に新しく制作することを提案した。
石渡稔也町内会長は「区政50年、川崎宿400年、市制100年と節目が近いこの時期に地域の歴史を残す記念の絵ができたことに意味があると思う。子どもたちにとっても中学校生活の最後に思い出が作れて本当によかった」と完成を喜んだ。
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