昨年7月に全面施行された「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」が学校教育現場でどのように生かされているかを紹介する講演会が3月25日、川崎区桜本の川崎市ふれあい館で行われた。
市教育委員会教育政策室で人権・多文化共生教育を担当する大野恵美さんが講師として登壇。「違いが豊かさとして響き合うために 川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例〜教育的見地から〜」と題して講演した。
大野さんは、同条例の5条と7条について「教育委員会が大事な部分として捉えている」と説明。条例の制定施行により、違いからくる差別偏見をなくすための学習活動として、学校が使いがちな『違いは豊かさ』『認め合う』といったフレーズで説明するのではなく、「差別偏見をしてはいけないことをしっかり伝える」ことが大切だと強調。一方で「互いを尊重し合うことがどれだけ心地よいものなのかを体験すること」の学習が重要だとも語った。
市と市教育委員会が子ども向けに作成したリーフレットについて、大野さんは「みんなと違うからといって、仲間はずれにされたり、無視をされたり、悪口を言われたら、どう思いますか?」という文章が掲載されたことが「今までにない切り口」と評価した。また、中・高生用では「ネット社会と人権侵害に焦点を当てたことに意義がある」と述べた。
教職員向けの指導資料では【1】条例を知る【2】条例から考える【3】日常生活に生かす―というステップで作成していると紹介。罰則規定の教え方について、大野さんは「発達に応じながら伝えることができる。(実際にこの点に触れている)中学校もある」と語った。
参加者からは、差別を受け、被害を受けている当事者に向けた授業への発信の仕方について質問が上がった。これに対して大野さんは「各学校の子どもたちの実態に合わせた授業展開が大事。(差別を受けている)被害当事者がいた場合はそれにあった授業を行い、教育委員会もそうした事例をしっかりキャッチしていく」と述べた。
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