川崎市は16日、環境や防災などに配慮した大規模開発に対して容積率を緩和できる仕組みを盛り込んだ「低炭素都市づくり・都市の成長への誘導ガイドライン」を発表した。パブリックコメントには「容積率の緩和は低炭素につながらない」といった反対意見を中心に過去最多の意見が寄せられたものの、実質原案通りとなった。
市はガイドラインに容積率を緩和してビルを高層化できる仕組みを盛り込んだ。従来は整備で生まれる空地のみを評価し、容積率の緩和を定めていたが、「環境配慮」「都市防災」「都市機能」「都市空間」の4項目を追加。最大で容積率を1・6倍に割増しできる。
こうした原案に対し、昨年10月から11月にかけて実施したパブリックコメントには4075通(4144件)の意見が寄せられた。07年にパブリックコメントを導入して以来、過去最多という。「容積率緩和が先にありきで、低炭素都市づくりは口実に過ぎない」「人口密集地区への超高層建築が低炭素都市づくりになるとは思えない」など原案に対する批判的な意見が集中したものの、意見を反映したのは「事業者を評価する項目に省エネ・節電・事業継続性・地域電力の供給を判断基準にする」だった。
市民団体「まちづくり・環境運動川崎市民連絡会」の小磯盟四郎事務局長は「容積率を緩和して人口が集中することは低炭素化と矛盾している。パブリックの意見が取り入れられないなら、その意義はあるのか、市に対する不信感だけが募る」と話している。
市まちづくり局の担当者は「市民の意見を採用するかどうかは件数ではなく、内容で判断している。我々が気づかない部分を指摘してもらえることもあるためパブリックコメントの意義はある」と話している。
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