市は、国の要領に基づき今年1月中に実施した「ホームレスの実態に関する全国調査」の当市の概要を公表。全体数は7年連続で減少している一方、長期生活者への対策に苦慮する実態もあり、問題の難しさを表している。
この調査は毎年行われており、今回は、国の「2014年度ホームレスの実態に関する全国調査実施要領」に基づき実施されたもの。市の巡回相談事業を担っている専門巡回相談員10人を調査員として、今年1月15日と19日の2日間、公園、河川、道路、駅舎、その他施設で、巡回により目視で調査(概数調査)。時間帯は多摩川河川敷は午前9時から午後6時、それ以外は午後10時から翌午前2時とした。
その結果、今年1月現在、市内で起居するホームレスの概数は439人で、昨年1月の調査から51人減少。男女別では、男性423人(対前回比43人減)、女性8人(10人減)、不明8人(2人増)。全体数は、03年度の1038人をピークとして、09年度から7年連続で減少が続いている。
場所別では、「河川」が最も多く217人(対前回比11人増)、続いて公共施設・駅前広場等の「その他施設」88人(40人減)、「公園」72人(8人減)、「道路」54人(13人減)、「駅舎」8人(1人減)。また、地域別では、川崎区が200人(53人減)で、以下、中原区97人(9人増)、幸区61人(7人減)、高津区41人(3人減)、多摩区35人(4人増)、麻生区3人(増減なし)、宮前区2人(1人減)となっている。川崎区は駅前広場等のその他施設が多く、中原区は河川に目立っているという。
対策事業奏功も課題が浮き彫り
市生活保護・自立支援室では、国の法律に基づき策定した『市ホームレス自立支援実施計画』に則り、「本人の意思により安定した生活を営む」ことを目指して、巡回相談や自立支援センターの活用、自立者が再び野宿生活に戻らないようにするアフターケア対応、年末年始期間に宿所、食事入浴設備や医療を提供しその後の自立支援施策につなげる越年対策などの事業を継続。ホームレスの年齢や健康状態等の生活実態を把握しながら取り組んできたことが自立に結びつき、全体数の減少につながっていると分析する。
しかし「健康な方で、『福祉の世話になりたくない』『今の生活のままがいい』としてこちらの提案に一向に応じず、ホームレス生活が長期化しているケースもあり、今後の課題」と話す。
あくまで本人の意思で自立に向かってもらうことが目的のため、市では巡回を増やしてコミュニケーションを図りながら提案を続け、そうした人たちに対応していきたいとしている。
幸区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|