子どもの10%から15%は何らかの虐待を受けた経験がある一方、それに気付く大人の割合は低い――。そんな実態が川崎市のまとめた「第5回子どもの権利に関する実態・意識調査報告書」で明らかになった。
調査は、アンケートとヒアリングで行われ、このうちアンケート調査は昨年3月に11歳から17歳までの子ども2100人、18歳以上900人、市立施設や学校の職員500人の計3500人を無作為抽出し、郵送で実施。このうち1296件の回答(回収率37・0%)があった。ヒアリング調査は昨年7月から9月にかけて児童養護施設などに入所している11歳から17歳までの子どもら7施設27人を対象に行われた。
子どもの生活実態を問う設問で「大人から叩かれたり、殴られたりした」と回答した子どもの割合は「される」「ときどきされる」あわせて9・2%だった。年齢別では小学生世代のほうが中・高生世代より回答する割合が高かった。
一方、大人に対しては「子どもが保育園・幼稚園・学校で先生から殴られたりしたことに気付いたり、聞いたりする」ことを聞いた。「ある」「ときどきある」と回答した割合は5・6%で「気付かない」と回答したのは約80%に達した。
「心を傷つけられる言葉をいわれる」との設問で「いわれる」「ときどきいわれる」と回答した子どもはあわせて15・0%だった。これに対して「気付いたり聞いたりする」大人は「ある」「ときどきある」あわせて8・4%で気付かないと回答した割合は約74%だった。
「子どもが疲れたり、不安に思うことについて」は全ての世代で最も多い回答が「学校の勉強・宿題」だった。40%の小学生が回答したのに比べ、中高生は約60%と高かった。
また、中・高校生は「クラブ活動・部活動」や「友達・先輩との関係」を挙げる割合が高いことも判明した。「いじめや嫌がらせ、シカト(無視)」 で悩む割合は小・中学生が各約15%、高校生約5%だった一方、「子どものいじめに気付いた」と回答した大人の割合は9・7%だった。
調査の中で子どもへの虐待やいじめの気づきのキーを握るのが職員だということも判明した。「大人から叩かれたり、殴られたりした」設問では気づいたり、聞いたりしたと回答した職員は約6割に達した。また、心を傷つけられる言葉をいわれることに気付く割合は約45%、いじめ等の気付きでは学校関係では約70%、施設関係では約60%が気付いたと回答した。
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