様々な事情で保護者と生活できない子どものための「里親制度」について、川崎市の「里親」への委託率は21%(2016年1月1日現在)であることが、本紙の調べでわかった。
全国平均を上回る数字だが、市と里親支援のNPO法人によると、里親の「質」の向上に向けて、継続的な里親支援が不可欠だという。
委託率は21%
里親制度は、子どもが家庭の中で安心して暮らし、家族や地域のつながりを意識して生活できるという。
川崎市の12歳以下の人口はおよそ16万人で、施設や里親の下で養護を受ける児童数は計375人(16年1月1日現在)。そのうち里親委託児童が65人で、ファミリーホーム(小規模住宅型児童養育事業)へ委託されている児童が13人。里親委託率は21%となっている。全国平均の16・48%(15年3月末現在)と比べると高い数値を示している。
川崎市は里親委託率の現況に対し、「委託率向上を目指して今後も取り組んでいく必要がある」として、15年3月に、児童の社会的養護を推進するための基本方針を策定。今後15年で、社会的養護が必要な子どもの3分の1(約33%)を里親・ファミリーホームで支援する方針を示している。
だが、里親に登録しても養育に結びつかない現状もある。その原因として、里親の高齢化や、虐待を受けた過去や障害を持つ子どもとのマッチングがうまくいかない――などが挙げられる。市は「子どもが安心できる家庭環境で過ごせるように、里親とは継続的に面談してマッチングを図っている」という。
また、川崎市内で里親支援を行っているNPO法人「キーアセット」の担当者は、「数字だけでなく質の向上も大切」と話す。里親は、子どもが持つ実の親への思いや生い立ちを受け止めていく必要があるという。同法人は里親同士で悩みを共有するサロンの開催、定期的な家庭訪問などを実施し、サポート体制を整えている。「どの子どもも家庭で育つことが求められている。里親には入口から出口まで一貫した支援を行っていきたい」と話している。
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