大船渡市への派遣事業として11日から母校で支援を行っている小山小学校教員 平野 崇史さん 中央在住 27歳
故郷の復興 向き合うことから
○…教育委員会による大船渡市への教職員派遣事業の募集が始まったとき、真っ先に手をあげた。11日から4日間、現地で授業の補佐や救援物資の整理をする。偶然にも、母校の大船渡市立末崎小学校に派遣が決まった。「いろんな子どもたちと話して、遊んで、学んで、楽しい一日だったなと思ってくれれば嬉しいですね」と、優しい笑みがこぼれる。
○…3月11日は勤務先の小山小学校にいた。停電の中ラジオに耳を傾けると、大船渡は壊滅状態と何度も聞こえた。実家と連絡が取れない不安な数日を過ごし、やっとのことで家族の無事を確認。4月に帰省すると、そこはもう記憶にある場所ではなかった。町中で聞こえてくる「がんばろう!日本」の声に、心の中で問いかけた。「本当に、復興できるのか」。焦燥感にかられ、大船渡の子どもたちが相模原に来たときは、とにかく何かしたいと、ボランティアに参加。いま自分にできる唯一のことに、力を尽くした。
○…岩手県は大船渡市末崎町の出身。視野が広がる地理や歴史を学ぶことが楽しく、社会の授業が好きだった。中学の頃から教職への道を意識するようになり、夢は相模原で実現した。教員歴4年目の現在は、2年生の担任を務める。「自分と出会ったことで、子どもたちが良い方向に向かってほしいですね」。成長段階の児童と関わる責任の重さを、ひしひしと感じている。
○…大船渡の児童とふれあったとき、表面上は明るくても心に傷を抱えた子どもの姿に胸が痛んだ。家や街が新しくなっても、その傷は癒えない。実際に震災の被害にあったわけではない自分がどこまで出来るのかと迷いはある。「まずは行ってみて、自分に出来ることを最大限します」。故郷の未来を背負う子どもたちと向き合うことが、復興につながると信じている。
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