13日、ライブイベントを行う「常福寺(じょうふくじ)」(南区新戸)第27代住職 原和彦(わげん)さん 南区新戸在住 56歳
アートな禅寺(ぜんでら)「己を探す」
○…サックスやアフリカの民族楽器、更(さら)にはターンテーブルまで登場する。そこに、身体芸術まで加わることも。ステージはあの建長寺(鎌倉市)の系統に属する、創建700年の禅寺の本堂。「演奏前には、参加者に必ず座禅を組んでもらいます」。現代芸術と禅のコラボレーション――。自身で企画・運営を行い、今では30回を越える現代アートの名物イベントに。「芸術家も座禅を行う人も、どちらも自分にひたすら向き合う。内実は似ています」。2つの”自己究明”のあり方が、この秋も共鳴し合う。
○…寺院のあるこの地で生まれ育つ。キリスト教系の大学へ通い、専門は機械工学だった。企業に勤めたが、愛着ある故郷(寺)は捨てられず。27代住職になり20年弱。「檀家以外に対しても、宗教が果たせる社会的な役割があるはず」。人生への不安、自身の生き様、生死…。日常の中でそんな課題を直視する場が、この現代にどれほどあるのかが気がかりだった。そもそも音楽・舞踊は、古代から宗教に欠かせないもの。平成4年4月4日午後4時44分44秒、初のライブの幕が開けた。
○…妻と3人の娘と暮らす。「次女の時は、結局1度も運動会には行けなかった」。仏事はだいたい日曜日。なかなか家族との時間はとれなかった。それでも、2歳の三女のこととなると「これだけ年が離れていると、孫みたいで」と、顔をくしゃり。
○…2001年からは、ライブ同日に講演会も実施するように(春のみ)。養老孟司、松田美由紀など、そうそうたる文化人を口説き落とした。芸術家の魂の底からの自己表現、ゲストスピーカーが語る壮絶な「生と死」の問題が、多くの来場者を揺さぶってきた。「私ですか?自分は自分とぴったり一緒ですから、イベントを通じてどう変わってきたかはよくわかりませんね。座禅もまだまだ半端ですし」。本来の己を探し続けるということは、なるほど一筋縄ではいかぬ難しい道のりなのだ。
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