異例のいじめ市民集会 市立中暴行事件の調査報告 市教委ら根絶アピール
昨年12月に起きた市立中学校3年生男子のいじめ暴行傷害事件を受けて、市PTA連絡協議会、市教育委員会らが主催して17日、相模原教育会館で市民集会を行った。いじめ問題を扱った市民集会を市が行うのは極めて異例。子どもたちに関わる各種団体が多数参加した。
始めに、市教委から暴行事件の概要が報告された。それによると、暴行を受けた生徒は、今回の暴行だけでなく、逮捕された3人の生徒から継続的にいじめにあっていたと警察関係者に供述していたことが判明した。同校ではいじめアンケートも行っていたが、この生徒は、いじめを受けていることを他の生徒に知られるのを恐れたため、事実を記入しなかったことが発覚するなど、アンケート自体が機能していなかったこともわかった。。学校側はこの生徒同士の件を問題として認識していたが、加害生徒への対応に追われたことから、被害生徒へのケアが不足していたとされる。同校の校内状況についても報告され、生徒が教師に暴力をふるっていた事実に加え、ガラスを割る、火災報知機がたびたび鳴るなど学校全体が不安定な状態にあったことも明らかになった。
調査結果を通じて市教委は、子どもたちが安心して記入できるアンケート方法への転換、悩みを相談できる窓口の周知徹底に取り組む考えを示した。加えて、いじめ問題を担当する指導班を増強したり、市の各課にまたがるネットワーク会議を新設するほか、いじめ防止フォーラムなども実施していく。
「バレたら守ってくれないのでは」
報告の後の質疑応答では、参加団体から質問や意見が飛び交った。主な意見として「もっと早く相談できないのか。協力していくので、学校側も体制を整えてほしい」(市自治会連合会)、「指導のあり方が問わていると痛切に感じる」「指導者講習をしていきたい。練習中の合間に学校での事とか聞き取りしたりするのも効果的だ」(スポーツ少年団など関係団体)、「信頼される大人にならないといけない。存在を認め合う相模原市にしていかなければ」(障害者団体)、「民間レベルでいじめ問題に取り組む団体ができてもいい」(市民団体)などが挙がった。アンケート方法について「教師が暴力を受けている中で、いじめる生徒にバレたら守ってくれないのではと不安に感じる生徒は、事実を記載できないと思う」など、率直な意見も出た。
会の最後に、市PTA連があいさつし「子どもたちに、素晴らしい大人としての背中を見せていきましょう」と述べ、参加者への協力を呼びかけた。いじめ根絶に向けて、このほど市が決定したアピール(宣言)も発表された=表。