相模原が育てた夢追い人 サッカー・瀬沼優司選手×ゴルフ・河野美桜選手
子どもたちの将来の夢として人気がある「スポーツ選手」。今回は相模原で少年少女時代を過ごし、夢に向かって歩み出したJリーガー・瀬沼優司選手(23)と高校生ゴルファー・河野美桜(みお)選手(17)をピックアップ。二人が子どもの頃から現在に至るまで、夢を追い続ける姿に迫った。
とにかく続けることが大事
清水エスパルスに所属する瀬沼優司選手は上溝出身。2011年にユニバーシアード日本代表に選ばれるなど、将来を嘱望されるサッカー選手だ。そんな瀬沼選手が最初に抱いた夢は、「コックさん」と意外な答え。「言葉の響きと被っている帽子がかっこよかった」と笑う。
サッカーを始めたのは小学4年生。学校で仲の良かった友人と土日も一緒に遊びたくて、友人が所属する「上溝南サッカー少年団」に入団した。当初は「遊びの延長だった」と話す。将来の夢を聞かれても、「周りに合わせてサッカー選手と答える程度でした」と振り返る。
プロを意識し始めたのは高校生の時。スカウトから声をかけられ、自覚が芽生えたという。それでも高校卒業後は、プロに進む道があったにもかかわらず、往年のJリーガー中山雅史や井原正巳を輩出した大学サッカーの名門筑波大学に進学。「まだプロでやれる自信がなかった」と打ち明ける。だが、大学サッカーのレベルも甘くはなかった。「4年生との試合では、フィジカル面で全く通用しなかった。挫折を感じて、夢も諦めかけました」
そんな苦境から彼を救ったのは、当時、筑波大の監督を務めていた風間八宏さんの「限界をつくらず、自分にもっと期待しろ」という言葉だった。失いかけていた自信を取り戻し、コツコツと練習に励んだ。
4年の歳月を経て少しずつ成長し、プロになる自信をつけた瀬沼選手は、昨年4月に清水に加入。風間さんが監督を務める川崎フロンターレからも声がかかったが、誰も知らない場所で自分の力を試すことを考え清水を選んだ。プロとして一歩を踏み出した今も、「まだ夢を叶えたとは言えない」と瀬沼選手。目標はJリーグで活躍し、海外でプレーすることだ。
自身の経験から、子どもたちには「ベタかもしれないが、あきらめずに頑張ってほしい」と話す。「自分より上手な人が他に好きなことができて辞めたりする。だから、何が何でも続けていくことが大切」だとエールを贈った。
プロをめざし邁進中
清新出身の高校生ゴルファー・河野美桜選手が初めてクラブを握ったのは、8歳の時。父親について行ったゴルフ練習場で「やってみるか」と声をかけられ、初めてボールを打った。その時味わった快感は今でも忘れられないという。
その後、競技の楽しさにのめり込み、小・中学校とゴルフ漬けの毎日を送る。歳を重ねるごとに練習時間も増え、筋力トレーニングなども加わり、寝る時間も遅くなる日々。試合でも思うような結果が残せず、「辞めたい」と思う時期もあったという。それでもあきらめなかったのは、先輩の存在。辛い時をともに過ごした仲間たちが「一緒に頑張ろう」と励ましてくれた。
昨年、相模原で行われた日本女子オープンゴルフ選手権では27位と健闘。アマチュア出場選手の中では、3番目の成績だった。「自分が一番びっくりしている」と笑う。地元開催ということもあり、「身近な人がたくさん見に来てくれたことが一番大きな力になった」と感謝する。将来の夢は、プロゴルファーとしてレギュラーシーズンに参戦すること。現在、プロテスト第1次予選を通過中(昨年12月14日時点)。一発合格をめざしている。夢への挑戦は始まったばかりだ。