10月25・26日にサンシャインワーフ神戸(兵庫県)で開催された国内ナンバーワンのキッチンカーを決めるイベント「キッチンカーコレクション2014」(テレビ大阪主催)で、上溝の修理工場である(有)スリーアロー・慶二商会が車両デザイン部門(カスタムカーアワード)で日本一に輝いた。
グルメとカスタムカー(特別仕様の自動車)を融合させた日本初の試みとなる同イベント。2日間で延べ1万人が詰めかけ盛り上がりを見せる中、ひと際異彩を放ったのが、同社の作品・アリゾナバーガーだった。ベースの車両となったのはアメリカアリゾナ州から輸入された1963年式ウイリスポストバン(アメリカの郵便配達車)。生産台数はわずか2000台足らずの希少な車だ。そのため、部品が手に入りにくく、自前で代用するなど職人たちの手づくりが光る作品に仕上がっている。昨年完成し、これまで横浜のイベント・ホットロッドカスタムショーで賞を受けたほか、アメリカの祭典・スーパーアメリカンフェスティバルでは3つの賞を獲得している。車両だけでなく、造形技術を生かしたハンバーガー形状のカウンターなど趣向を凝らしているのも特徴。制作期間が約半年間と短いのも高い技術力の証明という。
神奈川県からの出場は同社のみ。通常、出場には審査が必要だが、同社は大阪のカスタムビルダーからの推薦を受けたため免除。並み居るイベント常連業者らを退けての快挙だった。
「古いもの大切にしてほしい」
制作時を回想し、「レストア(再生)に対して細かく、サビを一日中こすり取るような根気のいる作業の繰り返し。一つひとつの工程を的確にやることだけに力を入れてきた」と同社の片桐慶二社長。「カスタムカーを通じて一般の方々には古い物、本物の良さ、物を大切にすることを感じてもらえたら嬉しいです。それが、本当のエコだと思います。その思いを作品のアリゾナバーガーに託し、発進、そして発信していきたい」と話し、カスタムカーにかける思いをにじませた。
今回日本一になったカスタムカーは、同社で見学できる。片桐社長は「地域にも還元したい」とし、イベントも検討している。