さがみはら中央区版 掲載号:2016年5月19日号 エリアトップへ

30年の時を経て一歩前進 上溝駅への延伸に道筋

文化

掲載号:2016年5月19日号

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 止まっていた時が動き出した-。1985年に初めて国の審議会で「検討すべき」と位置付けられて以来、実現に向けた動きがこう着していた小田急多摩線の唐木田駅から相模原方面への延伸について、今年4月の審議会で初めて具体的な延伸先として「上溝」が答申案に明記され、事業実施の根拠となり得る「意義ある事業」と位置付けられた。審議会で初めて議論されてから約30年もの年月が流れての今回の答申。その裏には、地道な活動を続けてきた住民たちの姿があった。

 高度経済成長後の1975年、多摩線は日本有数の規模を誇る多摩ニュータウンへのアクセス路線として整備され、新百合ヶ丘駅から小田急多摩センター駅までの区間で開業した。新路線の開通を受けて相模原市内では、都心へのアクセス向上などを求め、多摩線の延伸を要望する声が少しずつ広まっていった。1985年には、国の交通政策を審議する場として15年に1度開かれる「運輸政策審議会」で初めて、整備を予定していた多摩線唐木田駅から、相模原方面への延伸について「今後、新設を検討すべき方向」という位置付けがなされた。ただ、この結果はあくまで検討の対象になったにすぎず、相模原方面への延伸実現の可否は15年後の2000年に行われる審議会へ持ち越される形となった。これに向け、市や関係者は、前進となるような位置付けを得られるよう、要望活動などを続けた。だが、2000年の審議会での多摩線延伸への評価は上から3つ目のBランク。15年前とほぼ同じく「今後、整備を検討すべき路線」という位置付けに終わった。2度目の挑戦も前進と受け止められる結果は得られなかったが、「次こそは」という思いが官民レベルで高まり、この年を境に多摩線延伸を後押しする動きが活発化することとなった。

 2002年には市自治会連合会や、商店会らで構成される「小田急多摩線延伸促進協議会」が発足。2006年には相模原市、町田市に加え、多摩線の運輸機関である小田急電鉄も加わった「小田急多摩線延伸検討会」が設立され、延伸に向けた具体的な検討を開始した。そして延伸実現を強力に後押ししたのは、同年の相模総合補給廠一部返還の基本合意だ。これにより、今まで大きな障害となっていた唐木田駅から相模原駅までの鉄道用地問題を解決できる見通しがつき、延伸実現への機運はますます高まっていった。

 そして迎えた2016年の審議会。首都圏内で整備を望む多くの路線の中から24事業が「意義ある事業」に選定され、その一つに「小田急多摩線」の名が挙がり、延伸先として「上溝」が明記された。これにより止まっていた時が動き出し、地元は喜びに包まれた。

地道な活動実を結ぶ

 この歓喜の裏には、14年におよぶ地元住民による地道な活動があった。「小田急多摩線延伸促進協議会」は、地元主導による誘致活動を活発化させようと2002年に設立された。「孫の代には実現させようという思いでの設立でした。ただ、最初はどうなるかわからなかったし、何をすれば良いのかわからなかった」と同会の成川猛会長は当時を振り返る。

 手探り状態でのスタートだったが、今では市自治会連合会をはじめ、30団体が加盟するまでに拡大。定期的に開催される理事会で議論を重ね、関係機関への要望活動や、市民桜まつりなどでのPR活動に加え、補給廠や唐木田駅の視察など延伸の実現に向けてあらゆる角度から活動を行ってきた。「理事会では毎回、行政と連携して、『会議のための会議にならないようにしよう』と声を掛け合い、少しでも事業を進捗させようと努力した」と成川会長。同会として地道な活動を一つひとつ続けていく中、延伸の強力な追い風になった相模総合補給廠の一部返還について成川会長は「一部でも補給廠の土地が返還されたことは大きな一歩だった。これがなければ、延伸は夢物語だった」と感慨深げに語る。12年には、同会のマスコットキャラクターとその愛称を公募し、「ロマンくん」=地図内イラスト=に決定。その後のPR活動などで活用し、知名度向上に一役買った。あわせて、14年の1月15日から2月28日までには署名活動を実施。14万人を超える市民から署名を集め加山俊夫市長に届けた。成川会長は「議員の皆様にもご協力いただきながら、『オール相模原』で延伸の実現に向けて活動できたことが何より力になったと思う」と強調する。

 今後は、これからの活動方針となる「アクションプラン」を改定し、事業が着実に進捗するよう活動を続けていくという同会。「延伸の実現への切符をもらったから、これで終わりという訳ではなく、引き続き事業を後押しし、着工まで見届けたい」。約30年ぶりに動き出した時計の針を、刻々と進めていく。

活動初年度(2002年)の会議で話す小田急多摩線延伸促協議会の成川会長=市提供
活動初年度(2002年)の会議で話す小田急多摩線延伸促協議会の成川会長=市提供
神奈川県への要望活動=市提供
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