リオデジャネイロ五輪・男子板飛込みに日本代表として出場した坂井丞(しょう)選手(23)=相模原市出身/ミキハウス所属=が帰国後の8月30日、本紙の単独取材に応じ、胸の内を明かした。惜しくも決勝進出を逃した坂井選手は期待に応えられなかった悔しさをにじませつつも、その言葉は感謝の思いであふれていた。
「応援をくれた皆さま、本当に力になりました。ありがとうございました。結果が全ての世界ですが、今回目標としていたメダルには届きませんでした。あんなに応援してもらったのに申し訳ない思いです。本当にいい経験をさせていただいたので、今後に生かしていきたい」
初めての五輪を終え、最初に口にしたのは、周囲の応援への謝意と、それに最大の結果で応えきることができなかった悔しさだった。
波乱の男子板飛込み
8月15日(日本時間16日)、リオの屋外プール会場は前日練習までの天気と打って変わり、吹き荒れる強風が選手らを苦しませた。そんな中、坂井選手は確実な点数を狙い、これまで温めてきた大技109C(前宙返り4回半抱え型)を封じ、6本の飛込みにこれまでのすべてをぶつけた。
結果は373・70点の22位(決勝進出は18位まで)。得意としていた前逆宙返りを2本目と5本目で繰り出すも風の影響で奮わず、初の五輪は予選敗退で幕を閉じた。この他、日本代表の寺内健選手も予選敗退、世界ランク1位のマチュー・ロセ選手(フランス)、昨年世界選手権1位の何超選手(中国)も同様に予選落ちとなり、男子板飛込み競技は全体として波乱の展開となった。
飛込み競技選手の両親のもとに育ち、麻布大学附属渕野辺高校(現麻布大学附属高校)在学時には、高校総体で3年連続板飛込みと高飛込み2冠を達成、坂井選手は国内各メディアで「飛込み界の天才」と称されてきた。だがその一方で、世界の舞台ではこれまでにも苦汁を飲んだ経験があった。「世界選手権も初めての出場では納得のできる演技はできなかったんです。リオを経験して、今はモーグルの上村愛子選手がバンクーバー五輪で言っていた言葉が強く印象に残っていますね。『なんで自分は一段一段なんだろう』、自分もその思いで一歩一歩積み上げてやっていくしかないと感じています」
「4年後」見据えて
帰国後も今月10日には国体、16日からは日本選手権と国内大会を控え、すでに練習を再開。「気を緩めるのでなく、まずは日本選手権でしっかり優勝することを考えたい」。目前の大会に全力を尽くしつつ、その先4年後の「東京」を見据えている。
「(今年の4月に生まれた長男は)4年後には5歳。僕の仕事のことも少しはわかってくれているかなと思うんです。いい所を見せないと」と静かに闘志を燃やし、さらなる高難度の技を磨く日々が続く。
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