前人未到の五輪3連覇の偉業を果たし、昨年40歳で現役を引退した柔道家の野村忠宏さんが11日、市内で開かれたノジマ相模原ライズ主催のセミナーで講演し、柔道にかけてきたこれまでの人生を振り返った。
野村さんは今回、「オリンピック3連覇野村忠宏が見た世界〜勝ちに拘る、勝ち続けるためには〜」をテーマに講演。ミュンヘン五輪金メダリストの叔父や道場を営む祖父、柔道家の父に囲まれた柔道一家に生まれた野村さん。柔道は3歳から始めたものの、体格が小さいためになかなか勝てず、芽が出なかった少年時代に触れ、悔しさと反骨精神を胸に鍛え続けた日々を紹介。「確かに柔道一家には育ったが、私は決してエリートではなかった」と回顧した。その後、大学で急成長し2年時に大学選手権優勝。勢いに乗って4年時に日本代表に選出されると、アトランタ五輪では金メダルを獲得した。その際、翌日の新聞各紙に目を通したところ、当時のエースだった田村亮子選手の敗北の記事が大きく扱われていたエピソードを披露し、観衆の笑いを誘った。
野村さんは心身ともに充実期で臨んだシドニー五輪で連覇した後、引退と現役続行の狭間で悩み、周囲からの圧力から解放されたい一心で渡米した思いについても告白。引退勧告する声が挙がる中、アテネでの3連覇をめざして練習するも、思うような結果が残せず苦悶の日々を送った当時について、「どんなに惨めな思いをしても、自分で挑戦すると決めた。すべては自分。自分に返ってくるもの」と思いを明かした。
最後に、自身の経験から全アスリートたちに向けて「スポーツの世界は努力して当たり前で、結果がすべて。私は努力の先の自分が楽しみで競技を続けてきた。努力をどう結果に繋げていくか、そのためにどうするべきか。誰かのためにやるのではなく、やると決めるのは自分。それを大事に頑張ってほしい」と話し、メッセージを送った。
終了後には用意された3つの金メダルを取り出し、野村さんが観客の子どもたちの首にかける場面もあった。普段目にすることのないメダルを前に、子どもたちは目を輝かせていた。
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