障害者が撮影した写真などを競う「第32回障害者による書道・写真全国コンテスト」の入賞者が11月下旬に発表され、矢部在住の小出庄作さん(74)が写真の部で金賞に輝いた。小出さんは4回目の応募で初の栄冠。障害をものともせず、自らの好奇心に従い写真を撮り続ける小出さんは、津久井やまゆり園での事件に触れつつ、同じ障害者の人々へ「勇気を持って(人生を)楽しんでほしい」と思いを込めた。
同コンテストは障害者の芸術活動や社会参加の促進を目的に全国障害者総合福祉センターが主催している。今年は写真の部に全国から187作品の応募があり、金賞・銀賞が各10人、銅賞20人などが選ばれた。
小出さんは1歳の頃に発症した脊髄性小児麻痺の後遺症により、両足に障害を抱える。写真活動は会社員時代に同僚と始め、それから風景写真を中心に趣味の一つとして楽しんでいる。「撮りたい風景や場面があるとすぐに足を運んでしまう。この前も夜通し車を走らせ5時間かけて富山県へ行ってきた」と笑顔で語るほど写真への思いは強い。
小出さんは初めて応募した29回大会では銅賞を受賞したが、それ以降は入賞を逃していた。「今回もダメだろうな」と思いつつ4度目の挑戦に選んだのは、夫人と一緒に旅をした長野県安曇野の美しい田園風景を収めた1枚。「信州の小径(こみち)」と名付けたその作品は「あまり自信がなかった」というが、審査員の講評ではその構図などが評価され、神奈川県内で唯一全国の上位10人に選ばれた。自信がない中で金賞の受賞を聞かされ「最初は『えっ、本当ですか』と疑ってしまった。妻にもすぐに報告しました」と、入賞の喜びを語る。今後の写真活動について小出さんは「体が元気な限りは続けていきたい」と抱負を語った。
落ち込む仲 間にエール
小出さんは30年以上にわたり障害者団体での活動を続けており、現在は市身体障害者連合会の会長を務め、当事者同士の交流などに尽力している。今回の入賞に際し「やまゆり園での事件で多くの障害者が落ち込んでしまい、家に引きこもる人もいた。でもあれは一部の人の行為。そういう人に負けずに障害者は勇気を持って外に出て(人生を)楽しんでほしい」と同じ立場の人々へ言葉を送る。
小出さんを含むコンテストの受賞作品は、12月9日(土)から翌年3月31日まで、同センター(東京都新宿区戸山1の22の1)で展示される。
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