神奈川大学法学部教授幸田 雅治 さん
淵野辺駅南口の再編をめぐっては、「計画の中身」と「計画の進め方」について市議会でも議員から問題点が指摘されている。
淵野辺駅南口で計画されている公共施設の集約・複合化は全国的にも進められているが、地方自治を研究する幸田氏はその現状について「老朽化による修繕の必要性や市民のニーズ多様化、維持・管理コストの抑制など複数の背景が重なる中で行われている」と説明。その上で「公共施設とはまさに今そこに住む住民と、将来住む人々のためにある。公共施設を集約・複合化する際はより多くの住民が施設の在り方について十分に議論し、住民間で合意形成がなされることが重要」と説く。
淵野辺駅南口の再編については計画を策定するまでの「過程」に多くの問題点があることを指摘。特に、行政側が住民の意見を反映させる姿勢があるかについて疑問を投げかける。今回の計画をめぐって市は、不特定多数の一般の住民が計画に対し意見を表明できる場として昨年12月に説明会を実施。後に住民や施設利用者からの要望を受け6度の説明会を実施したが、「計画を進める上で、行政と地域の代表者で決めた案を住民に『説明し理解を求める』ということ自体が問題。多くの住民が計画案を考える段階から参加し、行政が柔軟な姿勢で臨むべき」と語る。
加えて、計画策定の時期について「まちづくりなど住民の生活と密接にかかわる問題で、説明会から3カ月後に計画を策定するのは、結論ありきになりかねず適切とは言えない」とした上で、「多くの異論、反対があれば一度計画を白紙に戻し、一から時間をかけて住民と一緒に考え直すことも検討すべき」と指摘する。
他にも施設のハード面に関する議論と並行し、ソフト面の議論もさらに行うべきとする。「施設ができた後にどのような主体がその場を運営し、どういった機能や役割を果たすべきなのかを踏まえ、議論をしていく必要がある」
具体的な議論の進め方については、行政からの一方向的な説明会ではなく、双方向性があり住民がより意見を表明しやすい「ワークショップ方式」の採用を提案する。ワークショップなどを通じて行政と住民がフラットな立場で議論ができれば、時間はかかるが合意形成への道筋が見えてくると考える。
このワークショップなどを活用し、公共施設の再編の中で「過程」から住民が参加した事例として、新潟市潟東地域での取組みをあげる。同地域では2015年から約1年かけてワークショップを計7回開催し、公共施設の集約・複合化へ住民間での合意を達成した。この取組みは住民参加によるまちづくりの例として注目を集めており、こうした事例を参考に再整備計画の再考を促す。
最後に、ワークショップなどを通じ時間をかけ行政と住民が一体となって課題解決することは、副次的な効果をもたらすことも指摘。「地域の課題解決に向け、両者が向き合っていくことを通じ行政、住民の相互理解が進む。その結果、他の課題でも協働できる機会が増え、結果として、より良いまちづくりへとつながっていく可能性を秘めている」とした。
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