卒業制作「大猫(びょう)行列」がギオン相模原大賞、女子美術大学卒業制作賞を受賞した 杉山 愛莉さん 横須賀市在住 22歳
「完全燃焼」で次の舞台へ
○…「これだけ長い期間制作にあてられるのは一生のうちこれが最後、くらいの気持ちで臨んだ。自分のために、好きなものを思いきり作りました」。本格的に制作に着手した昨年6月から今年1月、提出期限直前まで生み出された総勢41体の猫たち。卒業制作「大猫行列」が第2回ギオン相模原大賞と卒業制作賞を受賞し、「このような評価をいただけるとは」と顔をほころばせた。
○…群馬県生まれの横須賀育ち。授業で虎のお面を作った小学生の頃から美術に関心があったが、その後は吹奏楽に打ち込んだことで美術部に籍を置いたのは高校2年から。「遅れを取り戻すべく、どうしても出展したかった」県高校美術展で、初めて作った立体作品が入賞。木の棒でできた芯に新聞紙と粘土を重ねて作った羊が「造形の楽しさ」に目覚めさせた。女子美術大学への進学を希望した決め手は、様々な素材に触れられる点に加え、のどかな相模原キャンパスの環境。「自由にのびのび制作できて、居心地よさそう」と、一目ぼれだったという。
○…人ごみが苦手で、自然や動物を愛する。癒しは「緑」と「猫」。雨天の取材当日に持っていた傘には山がプリントされており、「森林浴が疑似体験できる」と目を細めた。自宅で飼うアメリカンショートヘアの「旬(しゅん)」については「家族全員で甘やかしています。デレデレですね」
○…「大猫行列」は江戸・妖怪といった自身の好きな世界観を猫で表現した、これまでの集大成。「完成した喜びより、燃え尽きた感が勝った」という作品は、2月に行われた東京五美術大学連合卒業・修了制作展で大きな注目を浴びた。「SNSで実名が拡散されて、最初は怖かった。でも徐々に、それだけたくさんの人に見てもらえたんだと実感しました」。今後はペット関連の企業でデザインにも従事する。「動物に関わる仕事で、自分にできることを」と優しい眼差しで話した。
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