さがみはら中央区版 掲載号:2018年3月29日号
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【連載】町に届け、当事者の声【4】(最終回) 「障害は不便なだけ。武器になる」 取材協力:市内NPO法人Action

社会

 高齢者や障害者、LGBT、生活困窮家庭など社会的にサポートが必要な人々の居場所づくりや支援を実際に当事者であるメンバーらが行う「NPO法人Action」。最終回は、同法人の発起人で、網膜色素変性症の当事者である高津大輔さんに話を聞いた。

 歳を重ねるごとに、夜盲や視野狭窄、視力低下が進み、失明する可能性もある難病「網膜色素変性症」。判明したのは3年程前、右足に大けがを負い、リハビリ生活を余儀なくされた時のこと。仕事に遊びに忙しくしていた日々が否応なく落ち着くことをきっかけに、レーシックを受けようと眼科で診察を受けた際、医師から大学病院に行くよう勧められ、そこで判明した。主治医が神妙な面持ちで告知した一方で「落ち込んだのは3秒だけ」と高津さん。中学生の頃から、夜になると極端に周囲が見えにくくなる状態に違和感を覚えていたこともあり「『やっぱり病気だったんだ』と逆にスッキリした」と振り返る。主治医には病気の進行後もできる仕事としてあん摩マッサージ指圧師を勧められたが、それでは一家を養っていけないと考えた。高津さんは「なってしまったものはしょうがない」と前向きに捉えつつ、家族に迷惑をかけまいと、失明した際に施設に入るための資金を貯めることも考え、遺品整理やリサイクル業を手掛ける事業を起こした。

 そんな中、高津さんは様々な社会貢献活動に携わっている金田祐史さん(現同NPO監事)に出会い、NPOの存在や役割を知る。そこで「健常者と当事者、両方の気持ちがわかる」ことを生かし、社会的に支援が必要な人々に寄り添い、居場所となるようなNPOをつくろうと決意した。

 「障害は不便なだけ」。高津さんにとって今や病気はNPOの活動を進める上で「武器」にもなっている。当事者の気持ちがわかることは、それぞれに合った支援をする上で何よりのアドバンテージだと考える。現代社会において障害者や「社会的弱者」と言われる人々は「『お涙ちょうだい』的に語られ、苦労に苦労を重ねているように見られがちだけど、皆が皆そういう訳ではない」。障害も、「幸せ」だと感じる基準も十人十色。「その人がその人らしくいられることが一番」。だからこそ、同NPOでは当事者たちと話し合い、その人に最も適した支援を最重要ミッションとする。

 そうした支援を社会全体で進めるためにも、当事者を取り巻く状況に対して「興味・関心を持ってほしい。知ろうとすることが支援のスタートになるはずだから」。高津さん自身は今後、ブラインドサッカーへの参加や、全盲や目の病気の人が通う学校、職業訓練の場を訪れたいと考えている。他人を知ることで、自分を知り、武器を磨く。高津さんの挑戦は続く。
 

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