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市NPO法人 インドシナ支援続け30年 難民との出会いが契機に

教育

公開:2018年11月15日

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主に恵まれない人々が入る公立病院の入院者へ食糧支援を行う永瀬さんら=昨年8月
主に恵まれない人々が入る公立病院の入院者へ食糧支援を行う永瀬さんら=昨年8月

 相模原を活動拠点とするNPO法人「インドシナ難民の明日を考える会」は約30年にわたり、市内のインドシナ難民への教育支援やカンボジア本国への生活支援を続けている。同団体の代表で弥栄高校教諭の永瀬一哉さん(62)は、活動を広く地域に発信するとともに、「今後もできる限り支援を続けたい」と話している。

 団体は1990年に設立。市内のインドシナ(ベトナム、ラオス、カンボジア)難民への教育支援をはじめ、カンボジア本国への学校づくりや井戸の寄贈などの支援活動を行っている。

 活動の契機は設立の前年、市内の団地での永瀬さんと難民との出会いに始まる。相模原高校の社会科教諭だった永瀬さんは、授業に生かせる情報を求め県版などを閲読していた際、市内の下九沢にある宮の上団地にインドシナ難民が定住している情報を入手。今では市内にも多くの難民がいると言われているが、今ほど社会的な制度が確立されていない当時、身近に難民が受け入れられている事実に驚きと関心を覚えた永瀬さんは、その足で団地へと赴いた。

 両所は当時、国により難民の受け入れ先とされていた。管理人から難民への日本語教育を懇願された永瀬さんは「親やその子どもに日本語を教えてあげないと、彼らは社会問題として行き場を失う存在となってしまう」と支援を決断。教え子の生徒たちを有志で募り、放課後に団地へ赴いては、日本社会の決め事や日本語教育を行うボランティアを始めた。一時期は保護者や卒業生も併せ50人ほどが参加していたという。

行き場失う難民に「道標」

 永瀬さんたちが特に気を配ったのは「2世」への支援。当時、インドシナ三国は1975年に社会主義体制へ移行し、これにより国を追われた難民が数多く生まれていた。難民2世として日本で生まれた子は、母国語を使う機会が親との間にしかなく、親も子に対する日本語教育への十分なフォローができないため、ボランティアがその教育にあたった。「僕はカンボジア人じゃない、日本人だ」。帰属意識の不安定さに悩む彼らの姿を目の当たりにした永瀬さんらは、子どもたちには学校の補習を行い、親には正しい日本語を教えた。生徒の中には今でも難民たちと食事の機会を持ち、友人として交流を続けている人もいるという。

 この間、市民や相模原高校の卒業生、教員らが集まり設立された同団体は、生徒がボランティアを終えた後も同様の活動を約10年前まで続けた。

 同団体はカンボジアなどインドシナ本国への支援にも注力。これまで学校や図書館の建設をはじめ、奨学金や医療支援などを行ってきた。一人の老人の支援のため老人ホームを建設したり、カンボジアはほとんどの地区に水道が通っておらず雨水や池の水を飲み水にしていることから、今夏には17基の井戸の寄贈なども行った。

 団体には現在、20〜30人ほどが所属。主にチャリティーイベントや募金で資金を集め支援活動に充てており、最低でも年に一度は現地に赴いているという。

 永瀬さんは支援を通じて日本の教育制度の豊かさなどを痛感したといい、団体での活動経験を実際に授業に役立てているほか、地域に発信していくため2、3年に一度、市民への公開講座を開いている。

 団体の今後の活動について永瀬さんは、「都市部はようやく水道化してきたが、井戸の寄贈活動は続けていかないといけない。また、日本語学習ができる教室を開いて、本国に日本語教育の機会を提供していくことも考えたい」と話している。

カンボジア知る公開講座

 弥栄高校で11月24日(土)、市民公開講座「カンボジア 支援と研究」が開催される。相模原市後援。

 30年にわたりインドシナ支援を続け、関連の著書も発行している同校教諭の永瀬さんが、カンボジア難民との出会いや本国支援から見えたことを講演。同国軍人のポル・ポトに関する独自の情報や研究結果なども語る。

 講座は同校社会科教室で午後1時30分から3時30分。先着40人で受講料500円(当日徴収)。申込みは【FAX】042・751・6137(名前・電話番号・講座希望の旨を明記)、問合せは【電話】042・758・4969へ。

取材に答える永瀬さん
取材に答える永瀬さん
同団体が支給した水道を使うカンボジアの中学生たち=今年4月
同団体が支給した水道を使うカンボジアの中学生たち=今年4月

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