5点リードで残り1分。2008年以来となるトップリーグ昇格は目前だった。だが、昇格の二文字は無情にもその手からこぼれ落ちた。昨季の悔しさから、まもなく一年が経とうとしている。
三菱重工は今季、新たにグレック・クーパー氏をヘッドコーチ(HC)に迎え始動した。海外でも経験豊富な指揮官のもとチームスタイルの刷新を図り、攻守両面でのアグレッシブさを選手に浸透させた。
迎えた18-19シーズン。開幕戦の釜石に勝利した重工は、続くトップリーグ組のNTTドコモに敗れるも、その後連勝を果たす。チームの中心となったのは、今季からキャプテンに就任したNo.8の土佐誠らベテラン勢と、マイケル・リトルら助っ人外国人勢。試合によっては助っ人が半数を占めることもあり、マイケル・リトルに加えマット・ヴァエガやダニエル・ホーキンスらが、外国人特有の力強いランとディフェンスでチームをけん引した。
チャレンジリーグの1stステージを5勝2敗の3位で終えた重工は、上位4チームによる2ndステージに進出。1stステージで敗れた格上の近鉄に雪辱を果たすなど、2勝1敗の2位でリーグを終えた。残すはトップリーグ下位チームとの最終入替戦。15日に運命の対戦相手が決まる。
クーパーHCはシーズン開幕前、昇格を果たす上で必要なことを問われこう答えていた。「ビリーブ=信じること」。昨季の入替戦、トップリーグのクラブと互角以上に渡り合った選手たちは、指揮官の言葉にあるように悔しさとともに自信を手に入れた。10年ぶりとなる昇格へ。もう悔し涙はいらない。