12季ぶりに日本ラグビーの最高峰リーグへ―。重工は入替戦直前、2007年に初めて昇格を決めた相手・近鉄から金星をあげ、勢いを増し大一番に臨んだ。
運命の「12月23日」。会場には昇格を信じ声援を送る多くのファンの姿があった。今にも雨が降り出しそうな曇り空のもと、ホイッスルが鳴る。新指揮官が植え付けた「自信」を近鉄戦で「確信」へと変えた重工フィフティーンは、開始直後から相手陣内へ猛進。18分にPGで先制すると、攻撃の手を緩めず31分にも追加点。その直後、昇格へ光を差すトライが生まれる。キックオフからFWがボールを細かくつなぐと、マイケル・リトルが相手ディフェンスライン裏へ絶妙にボールを転がし、反応したトーマス優デーリックデニイが押さえて右隅にトライ。PGでさらに追加点をあげた重工は前半を16対0で折り返す。
迎えた後半。先にトライを許すも試合の流れは渡さず、28分に相手ゴール前5mでのラインアウトのミスを見逃さず再びトライ。その4分後、味方がインゴールへ蹴り込んだボールをマット・ヴァエガが押さえて追加点、試合を決定づけた。前回昇格時の近鉄戦に出場した唯一の現役選手・藤田幸仁も途中出場し、グラウンド内で仲間と喜びを分かち合った。
一年を通じ、指揮官の掲げる積極的なラグビーを展開した重工。試合後、涙を流すもの、抱き合うもの、それぞれがTLへ思いをつのらせる。キャプテンの土佐誠は「チーム戦術が上手く機能した。チームに関わる一人ひとりがベストを尽くしたことが昇格の要因」と喜びを口にする。奇しくも今年は「亥年」。9月には日本で初めてラグビーW杯が開催される。近鉄との死闘から12年。運命に導かれしフィフティーンは、次なる夢を私たちに見せてくれるはずだ。
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