小惑星探査機「はやぶさ2」が22日、小惑星リュウグウへの着陸(タッチダウン)に成功した。2005年に小惑星イトカワに着陸した初代はやぶさ以来、世界2例目で、「相模原産」の探査機の快挙に地元は大いに沸いた。はやぶさ2は7月頃までに最大あと2回の着陸を行い、人工クレーターからの試料採取に挑む予定。
はやぶさ2は21日午後、高度約20キロ地点のホームポジションからリュウグウへ向け降下を開始。降下速度を上げるなど順調に作業が進み、サンプル採取のための金属製の弾丸が発射された後も機体の状態が正常と判断されたことから、22日午前7時29分に着陸に成功したと確認された。
歴史的偉業達成の瞬間、JAXA相模原キャンパスの管制室でその様子を見守ったスタッフからは歓声と拍手が沸き起こった。JAXAによると、23日正午時点で同機がホームポジションに戻ったことが確認されたという。JAXAの発表では、今回はやぶさ2がリュウグウ表面の石や砂などの試料採取に成功した可能性が高いとしており、試料採取に成功すれば、惑星の成り立ちや地球・海・生命の起源解明へ期待がかかる。
14年に打ち上げられ、リュウグウをめざしていたはやぶさ2は昨年6月、目的地上空に到着。10月末に1回目の着陸が予定されていたが、レーザ高度計の計測に問題が生じたことで実施が延期されていた。今回同機が挑んだのは、幅約6メートルの地点へのピンポイントタッチダウン。JAXAではこの難解なミッションを「思い描いた通りに成功できた」としており、小惑星探査における日本の技術力の高さを世界に示す結果となった。
JAXA相模原キャンパスで記者会見に臨んだ津田雄一プロジェクトマネージャは、集まった報道陣や市民らに向け「本日、人類の手が新しい、小さな星に届きました」と報告。着陸が成功するまでは不安に駆られていたが、当日はクールに対処できるよう努めたという。津田プロジェクトマネージャは「(金属弾の発射が失敗に終わった)初代はやぶさの借りを返した」と話した。
はやぶさ2は今後、最大2回の着陸を予定。搭載された小型の衝突装置で人工的にクレーターを生成し、新たな試料採取に挑む。
「はやツー君、よくやった」PVに200人
市内でも歴史的なはやぶさ2のタッチダウンを市民一丸で応援しようと、博物館と市役所の2会場でパブリックビューイング(PV)が開催された。
開館して以来初となるPVを行った博物館では、会場のエントランスに用意された座席がすべて満席となり、立ち見も含めおよそ200人が詰めかけたほか、多くの報道陣も陣取るなど会場はごった返した。博物館によると、開館した6時30分の時点で60人もの列ができていたとされ、最も早い人では5時15分に来て並んでいたという。
着陸が迫る中、参加者は会場のテレビ画面に映る管制室の様子を食い入るように見つめ、かたずを呑んで見守った。そうして着陸を示すデータが管制室に流れた7時48分、喜ぶ職員たちの様子が映し出されると、「おお」という歓声とともに拍手に包まれた。リュウグウ着陸が現実のものとなったことを参加者全員で喜び、会場はたくさんの笑顔であふれた。
初代はやぶさからのファンで、今回は立ち見で応援した佐久間昭彦さん(東淵野辺在住)は、「この成功は相模原、淵野辺、宇宙産業の発展につながる。とても誇りに思う」と話す。JAXA特別公開に足を運ぶなど宇宙好きの女性3人組で訪れた小池亜美さん(市内在住)は、「JAXAがすごく好きで、相模原に移住したほど」と嬉しそうに話すと、「このために来た。本当に良かった」と喜びを爆発させていた。
淵野辺駅北口の商店街・にこにこ星ふちのべ商店会ではタッチダウン関連のグルメ・グッズを販売。JAXAとともにまちづくりを進めて来た淵野辺ならではの心意気で、はやぶさ2を祝福した。
吉川真ミッションマネージャは会見で、「はやツー君(スタッフが親しみを込めた探査機の呼称)は、よくやってくれた」と労い、「初代はやぶさをはるかに上回るサンプルが採取できるはずだ」と期待感を示した。
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