さがみはら中央区版 掲載号:2019年4月18日号 エリアトップへ

相模原平成史 回顧 -第2回- 「共に生きる」が当たり前に やまゆり園事件から3年

社会

掲載号:2019年4月18日号

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入倉かおるさん(61)=芹が谷園舎で津久井やまゆり園園長2009年から同園に勤務し、16年に園長に着任。現在は同園芹が谷園舎にて施設管理、運営などを行う
入倉かおるさん(61)=芹が谷園舎で津久井やまゆり園園長2009年から同園に勤務し、16年に園長に着任。現在は同園芹が谷園舎にて施設管理、運営などを行う

 障害者施設「津久井やまゆり園」の殺傷事件が発生から今年で3年目を迎える。同園は事件が起きた緑区千木良の施設から、2017年4月に横浜市港南区の芹が谷に仮移転。事件直後から「この先どうなってしまうのかと、職員や利用者、ご家族の方全員が不安の中を過ごした」と振り返る。

 事件が起きたのは16年7月26日。同園の元職員による凶行だった。利用者19人の尊い命が奪われ、職員を含む27人が負傷。動機が「優生思想」などの障害者への差別心だったことが、大きな議論を巻き起こした。

 当日、午前3時過ぎに連絡を受け、現場に駆け付けた。「気持ちの整理がつかなかった。あの感情は言葉にできない」。職員たちも続々と集まり、被害を免れた利用者を誘導。自身は警察やマスコミの対応にも追われ、翌日の深夜まで息つく間もなかった。100人以上の利用者は体育館や被害のなかったフロアでの生活を強いられ、環境の変化に戸惑い、現場は混乱。体調を崩し、日常生活ができない人も増えたがどうすることもできず、不安定な日々は仮移転まで9カ月続いた。

共存できる社会へ

 芹が谷に仮移転後、環境が再び変わり、落ち着かない利用者も多かったが、徐々に新しい生活に馴染んでいった。だが傷は癒えたわけではなく、「3年経つからといって記憶が薄らぐことはない。夏が近づくにつれ、気持ちが乱れる職員もいる」

 事件後、施設のあり方を含めて批判にさらされた同園。自身も差別解消に向け長きにわたり一歩ずつ取り組んできたにも関わらず、元職員が起こした凶行により園の姿勢すらも否定された。「障害者差別をなくすために社会全体で積み上げてきたものが、あの事件で全部だめになってしまった気がした」。しかし利用者や家族の声に耳を傾けてきた、これまでの歩みが間違っているとは思わない。「差別解消に何も取り組んでいなかったと言われるがそれは違う。『これからも施設で暮らしたい』という方のために尽くし、希望に添う施設運営をしていく」と決意を固めた。

 21年に千木良の施設の建て替えが完了する予定で、その後は芹が谷と両拠点となる。「今後も福祉に携わるものとして障害者が地域に当たり前に生活し、共存できる社会をめざしていきたい」

 

事件が起きた緑区の津久井やまゆり園
事件が起きた緑区の津久井やまゆり園

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