障害の有無問わず「楽しむ」 手芸を通したボランティア活動を30年以上続ける「手芸サークル糸ぐるま」がこのほど、令和初となる春の褒章で「緑綬褒章」を受章した。同褒章は長年にわたり社会奉仕活動に従事し、顕著な実績を挙げた人や団体に授与される。「(受章は)考えてもみなかったので、嬉しいよりも前にびっくり。会のみんなと喜びあった」と、代表の三十尾(みそお)幸子さんは振り返る。
同団体は1985年、相模原ボランティア協会の有志により発足。手芸好きなメンバーが集まり、障害の有無にかかわらずともに活動する、という趣旨で立ち上げられた。毎月1回、けやき体育館の教室を利用し「飾って楽しめるもの、使って便利なもの」を心がけ、編み物や布作品の制作を通して会員同士交流を深めてきた。発足当時は40〜50代が中心で、手芸活動に加え「遠足」と称した遠出や、食事会なども行っていたという。作品はセーターやベストなど編み物が人気だった。「昔は『家ではできないから』って、目の不自由な方が半年がかりで手編みの作品を仕上げていたこともあった」と三十尾さん。会員が年齢を重ねるにつれ負担のない形へと変化していき、近年は短時間で完成できるよう、年中行事の布飾りなど小物の制作が中心となっている。
「みんなが対等に」
現在はボランティア会員と、視覚や身体に障害のある人ら27人が所属。全員で制作活動をする定例会に加え、事前にボランティアだけが集まり試作する準備会も毎月開催している。定例会ではボランティアが工程を指導しながら、特に視覚障害のある人の目の代わりとなり、制作を手伝っている。「自分で作らなくても、みんなとのおしゃべりを楽しみに来ているという人もいる」。足の不自由な会員からの「ここに来るだけでリハビリになる」という声もあるという。障害の有無は特に意識せず、障害を持った経緯も聞かない。「みんなが対等な会員としてやっているから、長く続けてこられたのかも」
作品のほとんどが、会員が考案するオリジナルだ。牛乳パックなど身近なものも駆使して布作品に仕上げる。「出先で面白いものを見つけたら『これできないかな』ってほぐしてみたりするの。アイデアは常に探している」と三十尾さん。「楽しみながらやっている。これからも同じように可愛いものをつくっていきたい」と笑顔をみせた。
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