横浜スタジアムで7月25日に行われた全国高校野球選手権神奈川大会の準々決勝で、ノーシードの県立相模原高校(県相)が昨年の同南神奈川大会の覇者で4連覇をめざす第1シードの横浜を激戦の末8対6で破り、創部史上初の4強を決めた。甲子園出場がかかった大会で市内の公立高校によるベスト4は初。同校応援団、野球部ОBらが大声援を送る中での逆転勝利だった。準決勝で東海大相模に敗れはしたが、試合を重ねるごとに成長し、はい上がってきた県相は市内公立校のこれまでの球史を塗り替えるととともに、今大会終盤を熱く盛り上げた。
同校野球部を率いる佐相眞澄監督は東海大相模、横浜、桐光学園、慶應を県内高校野球の四天王と呼び、「打倒四天王」を掲げて戦ってきた。そうしてめぐってきた横浜との一戦。試合は序盤から力量を見せつけられる展開となった。
県相は1回に2点本塁打を浴びたところで主戦の天池空投手がマウンドに上がったが、3回に1点、5回には2本の長打で5点のリードを許した。県相打線も攻めあぐねていたが、7回に潮目が変わる。安打と連続四球がからんだ好機に4番中野夏生選手、5番風間龍斗選手が連続適時打を放ち2点差。ここでプロ注目の左腕・及川雅貴投手を引きずり出すと、7番高橋陸選手が体勢を崩されながらもライト前に弾き返し同点に。8回、相手に1点を勝ち越されたが、あきらめない県相は主将の坂手裕太選手の安打から1死1・2塁とし、中野選手が逆転の3塁打。風間選手の犠飛も加わり逆転に成功した。最終回は天池投手がピンチをしのぎ、激戦に終止符。横浜を破って決めた市内公立校初ベスト4の快挙に、3塁側スタンドの県相応援団は大歓声とともに涙を流す人の姿であふれた。
試合後、逆転の立役者となった中野選手は「スタンドの応援がすごくてとても心強かった」と振り返り、笑顔で汗をぬぐった。
精神面の鍛錬が結実
3時間にわたる死闘の末、勝利をたぐり寄せたのは選手たちのあきらめない気持ちと、「無」の精神だった。
同部では昨冬からトレーナーを招へいしメンタルトレーニングに取り組み、佐相眞澄監督は「無」の精神、動揺せずに自分を客観視することを選手たちに求めてきた。横浜戦前は速球対策として通常のマウンドからの距離18・44mではなく、16mにマシンを設置し対応力を身に付けさせた。すべては目標に据える県高校野球の「四天王」を倒すため。試合ごとに積み重ねてきた様々な鍛錬が結実したことが、横浜戦での歴史的勝利につながった。
「幸せな時間過ごせた」
大会を振り返り、佐相監督は「小さな軍団が良く頑張った。選手たちは200%以上うまくなった。今年は四天王の一角を倒すことができてベスト4に進出。昨年よりも悔しくない。幸せな時間を過ごすことができ、選手たちには『連れて来てくれてありがとう』と言いたい」と激闘をみせた選手たちをねぎらった。好守が光った坂手主将は「監督がいつも言うように、応援してくれる皆と自分たちとで束になって戦えた。それがうれしかった」と充実した表情。主戦投手としてチームをけん引した天池投手は「これまでの投げた試合で、横浜戦が一番印象に残る試合になった。スタンドの大歓声は本当に力になった。名前を呼んでもらえるのがうれしく、力をもらった」と応援団に感謝の気持ちを示した。
平田智則校長は「生徒たちの頑張りと応援してくれた方々の熱意によりこうして勝つことができたと思う。生徒たちはとにかくよく頑張ってくれた」とし、公立の意地を見せた選手たちを称えた。
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