全国で深刻な児童虐待事件が後を絶たず社会問題化する中、虐待の未然防止および早期発見による児童の安全確保を目的に市は、2日から虐待に関する全ての情報を神奈川県警と共有することとした。夜間や休日の対応強化など県警との連携を密にし、市内でも多発する児童虐待に歯止めをかけたい考えだ。
市はこれまで、虐待による外傷がある場合や子どもの安全が確認できない場合などに県警へ情報提供を行い連携を図ってきた。一方で、県警から情報提供の要請を受けてから市側の担当者への伝達や、情報確認などの段階を踏む必要があり、初動が遅れる課題があった。加えて土日や祝日、夜間など市役所が休日の際には、市のこども虐待110ダイヤルや児童相談所が対応していたが、職員不足などの影響から、さらに対応に遅れが出ていた。
東京都で昨年3月、両親の虐待で5歳の女児が亡くなる事件が起こるなど、児童虐待が全国的に深刻な問題になっていることや、市の児童相談所が受ける通告のうち昨年度は約45%が警察からのものだったことから市は、より一層の連携強化を模索。情報共有の強化に乗り出すこととなった。
夜間や休日も円滑に
市は把握している全ての児童虐待に関するデータを一定の規則のもと県警が閲覧・利用できるよう、専用のネットワーク上に保存し共有を行う。これにより県警が祝日や夜間の情報確認をスムーズに行えるほか、重大な情報に限らず、市が関わる全ての些細な情報も共有が可能になった。虐待に関する県警との情報の全件共有は、昨年12月から政令市と横須賀市以外の県内全ての自治体で実施している。川崎市と横須賀市は、相模原市と同じく2日から運用を開始している。
市では年々、児童虐待についての相談件数が増加している。昨年度に市が把握した虐待が疑われる児童の数は2332人で、児童相談所が設置された2010年以降では過去最多。市こども家庭課は相談状況の増加について、「今まで見過ごされていた件も通告されるようになった」と分析する。今後は情報共有の強化によりさらなる早期対応につながることが期待されており、同課は「子どもたちの命を最優先に考えて、児童虐待防止を推進していく」と話している。
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